スノボ大麻2選手 実質的除名…プロ大会OKもW杯など不可能

[ 2016年4月28日 05:30 ]

記者会見する全日本スキー連盟の古川年正専務理事

 全日本スキー連盟(SAJ)は27日、都内で臨時理事会を行い、大麻を使用したとされる未成年のスノーボード・スロープスタイルの2選手に対して無期限の会員・競技者登録の停止、連盟強化指定取り消し、日本オリンピック委員会の強化指定解除の処分を下した。1人は昨年の米国合宿中の使用を認めたが、もう1人は否認。最後は毛髪鑑定で大麻の成分が検出され、SAJは“クロ”と認定した。両者は18年平昌五輪出場も見通せない厳しい状況となった。

 SAJに強化選手の大麻使用のタレコミがあったのは今年1月だった。昨年の11月中旬から12月末までの米国コロラド州合宿にはスロープスタイルの選手14人、コーチやスタッフが6人の計20人が参加。SAJは調査委員会を設置し、全員からヒアリングを行った。

 徐々に2人が絞り込まれ、うち1人は“自供”した。合宿終盤の自由時間に外国人のパーティーに参加した際に、面識のない外国人から渡され、大麻と認識した上で吸引。使用したのはその1回のみと説明したという。

 もう1人はヒアリングの要請を2度にわたって拒否した。そのため古川年正専務理事らによる面談で聞き取りを行った。パーティーには参加しておらず、大麻使用は認めなかったが、委員会はヒアリングの中で「あの選手が吸っているのを見た」との複数の証言を得たという。最後は2人の毛髪鑑定を実施。26日に鑑定結果が出て、両者とも使用の痕跡が確認された。

 コロラド州では嗜好(しこう)品として21歳以上の大麻の使用は認められているが、世界アンチ・ドーピング機関が定める禁止薬物であり、SAJも行動規範などで薬物使用は厳格に禁じていた。調査委員長を務めた高山崇彦理事は処分について「最も重い。実質的には除名と変わらない」と説明、未成年のため氏名や年齢は非公表とした。今回の件は警察にも相談し、刑事処分に発展することはないとの回答を得たという。

 斜面に設置された障害物などを乗り越える際に繰り出す技で得点を競うのがスロープスタイル。SAJに登録できなければ国際スキー連盟(FIS)が主催するW杯や世界選手権、五輪への出場は不可能になる。だが、FIS管轄外のXゲームなど高額賞金のプロ大会への出場は制限されない。ソチ五輪ハーフパイプ銀メダルの平野歩夢(17)が強化指定を辞退して活動しているようにトップ選手にとってはむしろそちらが主戦場。それでも五輪が持つ意味はやはり大きい。SAJは今後の更生プログラムなどを経て復帰時期を判断する方針で現時点では先は見えない。

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2016年4月28日のニュース