北島 現役引退を正式発表「幸せな選手生活」「平井先生いてこそ」

[ 2016年4月10日 15:26 ]

晴れやかな表情で引退会見に臨む北島

 競泳男子平泳ぎで04年アテネ五輪、08年北京五輪2大会連続2冠の北島康介(33=日本コカ・コーラ)が10日、日本選手権開催中の東京辰巳国際水泳場で、引退会見を行った。

 冒頭あいさつ含む一問一答は以下の通り。

 今大会の競技におきまして、現役生活を退き、引退することを皆様にご報告いたします。今まで応援していただいた皆様、本当にありがとうございました。

 ――最後のレースから2日経った。今の気持ち。

 変わらないです。速かれ遅かれ、自分には引退が近づいていたのは分かっていたことですし、200のレースを終えて、これが最後だという気持ちは変わらず、きょうを迎えました。

 ――28年間の水泳人生はどのようなものだった。

 まあ、なかなか簡単な言葉では言い表せない。ただ一つ言えるのは、幸せな選手生活を送らせてもらった。それから平井先生がいてくれたからこそ、五輪で金メダルを獲ることができた。

 ――一番印象に残っているレースは。

 一つ挙げるのは凄い難しいですね。金メダルを獲ったレースが一番興奮したのは事実ではあるんですけど、どのレースでも記憶に残っているというか。小学校で優勝できなかったレースとか、全中で初めてライバルに勝ったレースとか。五輪で勝ったレースは確かにうれしかったんですが、今こうして思うとどのレースも思い出深いというか。もちろんこの前の200のレースも記憶に残るレースです。

 ――このような形での引退について。

 リオに行けないのは非常に残念ですし、それを実現できなかったのは僕自身に責任がある。期待してくれた方を裏切ってしまったのは申し訳ない。ただ、いま僕が実際に世界に行って戦えるかと言われれば、そうではない。いま身を引いて、世界に行く若手を応援したい。

 ――家族にはどのように伝えた。

 何も言ってないですね。言われたのは泳いでいるのが当たり前だったので、寂しいと言われたくらいですね。

 ――もう真剣勝負はしない。今後は何をする。

 そこが非常に寂しいです。五輪選考会に限らず、飛び込む瞬間の緊張感だったり、練習での自信とか、それまでに跋む過程というのは凄い濃いので、その時間がなくなってしまうのは、心に穴が空いたようにこれからなってしまうのかなと思いますし、ここまで長く真剣勝負をできたことが幸せな選手生活だったと思いますので、悔いはないです。

 ――平井コーチとの思い出。

 平井コーチが北島康介というレールを造ってくれた。平井先生が五輪行こう五輪行こうと行ってくれたから、最初は半信半疑だったが行くことができた。途中、少し離れてしまった時期はあるが、また平井先生の指導を受けることで、この半年くらい、また水泳と向き合うことができたので、言葉で表せられないくらい感謝している。

 ――今まで平井コーチから掛けられた言葉で、一番嬉しかった言葉。

 金メダル獲って掛けられた言葉だとか、平井コーチとは一緒に作り上げたという意識が強くて、練習でも相談してくれたりとか。全部自分の心を見透かされていた。嫌な顔をしてもグッと我慢してくれたこともある。これが、というものはなくて、全部でかけがえのない言葉です。優勝しても次の目標、先の目標があったので、若い時はそれでいっぱいいっぱいだったと思います。

 ――若い世代に言葉を。

 僕から言えることはあまりない。今回出てきた若い選手を見るとうれしく思うし、期待が高まるようなレースをたくさん見させてもらった。暖かく見守ってほしい気持ちもありますし、これだけ高いレベルの記録を出して五輪に行くので、悔いのないレースをしてほしいと思います。

 ――五輪とは。

 五輪があったから僕は水泳を続けてくれたと思います。誰もがあこがれる五輪。スタートはどのスイマーも同じだと思う。そこで負ける悔しさ、勝ちに行くための過程。いい思いも悔しい思いも忘れられない五輪に4回も出させてもらって、出すぎやろと思われるかも知れないが、僕が僕らしく一番興奮できる場所、それが五輪だと思います。

 ――20年に東京五輪がある。

 もうちょっと早く来てほしかった。そうしたら、もうちょっと成績が変わっていたかも知れない。ただ僕が生まれ育った町、東京に五輪が来るので、出れないけれど、とても興奮してしまうと思う。きっと今回の選手からも東京に出る選手がたくさんいると思うので、頑張ってもらいたいと思う。

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