評価すべき羽生の勇気 左足痛も安易に回転数落とさず…岡崎真氏が分析

[ 2016年4月3日 08:54 ]

演技終了も浮かない表情を見せる羽生
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フィギュアスケート世界選手権第3日

(4月1日 米マサチューセッツ州ボストン)
 羽生のフリーは非常に落ち着いた雰囲気で入り、冒頭からスケートもよく滑っていた。しかし最初の4回転サルコーの着氷でミスを犯し、珍しくリズムを崩したように見えた。その後、2度目の4回転サルコーで転倒すると、崩れたリズムは立て直せず、それが終盤の体力面にまで影響してしまったのだろう。

 しかし、評価すべきこともある。1つはミスのあと気持ちを途切らせることなく、最後まで丁寧に滑ろうとしたこと。特に連続ステップは世界最高得点のときよりも質の高いものだったと思う。もう1つは左足に不安があるにもかかわらず、安易に回転数を落として3回転ジャンプを跳ぶのではなく、4回転のトーループからサルコーへの変更を選択したこと。その勇気は素晴らしい。

 無人の野を行くかのようだった今季、最後の試合で逆転負けしたという事実は残念ではあるが、それすらも成長の糧にするのが羽生というスケーターの真骨頂ではないか。五輪プレシーズンとなる来季も、さらにスケールアップした姿を見せてくれることを期待したい。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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