真央SP9位 左膝に爆弾…佐藤コーチ「ギリギリのところにいる」

[ 2016年4月2日 05:30 ]

演技を終え浮かない表情の浅田真央

フィギュアスケート世界選手権第2日

(3月31日 米マサチューセッツ州ボストン)
 2季ぶりに出場した浅田真央(25=中京大)が、女子ショートプログラム(SP)で65・87点の9位と出遅れた。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を失敗して得点が伸びず、9度目の世界選手権で自己ワーストの順位。左膝に不安を抱える中、2日(日本時間3日)のフリーに臨む。宮原知子(18=関大)は70・72点の6位、本郷理華(19=邦和スポーツランド)は69・89点の7位。グレーシー・ゴールド(20=米国)が76・43点で首位に立った。

 以前の浅田なら、もっと悔しさをあらわにしていたに違いない。「回転がちょっと甘かった」と冒頭のトリプルアクセルが大きく乱れ、氷に手をついた。スコアは65・87点にとどまり、世界選手権自己ワーストのSP9位発進。「アクセルは凄く悔やまれるけど、その他の部分は自分の滑りができた。今日に関しては、まあまあかな」。表情に険しさはなく、どこか淡々としていた。

 1年間の休養を経て今季復帰し、ここまで5試合をこなしてきた。復帰戦のジャパン・オープン(15年10月)はかなりの緊張に襲われたが、試合勘を少しずつ取り戻し、2季ぶりの大舞台でもメンタルに乱れはなかった。「(緊張は)復帰してから試合をするごとに薄れてきている。一つ一つ試合を積み重ねた結果ここまでこられた」。異変は心ではなく、体に起きていた。

 昨年末の全日本選手権を3位で終え、1月から世界選手権へ始動。「調子が上がってこない部分があった」。左膝に不安を抱えていることが原因だった。「決定的に悪いというところまではいっていない」と佐藤信夫コーチは患部の状態を明かした上で、「ギリギリのところにいる。最高の時のように徹底的に滑り込んでいるわけではない」と続けた。少しでも無理をすれば悪化する可能性があるため、慎重な調整を強いられた。

 闘争心が欠けるように映るのは現状に納得しているからなのか、悔しさを隠しているだけなのか、それとも…。佐藤コーチも「いろいろ心境の変化とかがあったのかな。ただ、それは簡単に言葉にしていいものじゃない」といつもと少し違う愛弟子を案じた。2日のフリーは「蝶々夫人」で舞う。「自分の表現したいものを表現して最後まで滑りたい。芯のある、強い女性を見せたい」と浅田。今季を締めくくる4分は重要な意味を持つ。

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