白鵬 立ち合い「ホウッ」の琴勇輝圧倒 歴代横綱1位671勝

[ 2016年3月15日 05:30 ]

<大相撲春場所2日目>琴勇輝(右)を押し出しで破る白鵬

大相撲春場所2日目

(3月14日 エディオンアリーナ大阪)
 前日に黒星を喫した横綱・白鵬が初顔の平幕・琴勇輝を押し出して圧倒した。この日朝には取組直前に「ホゥ!」と叫ぶ琴勇輝の気合の入れ方に苦言。土俵上では右かち上げからの厳しい攻めを見せつけ、若手力士に相撲道を教え込んだ。白鵬以外の横綱大関も勝利を飾り、2横綱が敗れた初日とは打って変わって上位安泰となった。

 白鵬が左張り手から強烈な右かち上げで先手を取る。そして鬼のような形相で琴勇輝を一気に押し出した。わずか2秒5で瞬殺。しかし、史上最多優勝35度の横綱が初顔の24歳に教えたかったのは強さだけじゃない。

 「これが結びだ。本人もいい思い出になるでしょうし、手も足も出なかったね。出直してこい」

 ちょうど1年前の春場所前に行われた全関取衆が集う力士会。会長を務める白鵬は取組直前に「ホゥ!」と叫んで気合を入れる琴勇輝を名指しで「犬じゃないんだから吠えるな」と注意した。その真意について、この日の朝稽古後に「それが一つの流れだと本人は言ってるが、相手のことを思えばいかがなものか。自分のためだけだったらあってもいいけどね」と述べた。要は、軍配が返った後に目と目を合わせてあうんの呼吸で立つ場面で“自分本位”な行動は相手への敬意を欠くということ。白鵬いわく、最後に塩を取った直後に雄叫びを上げて気合を入れた高見盛(現振分親方)のタイミングが「ギリギリなんですよ」。力士会での注意から1年が経過したこの日。琴勇輝はいつも通りに自分を曲げず取組直前に「ホゥ!」と叫び、立ち合いでも全く合わせずに1度突っかけてきた。横綱として厳しい内容で勝つ以外に選択肢はなかった。

 仕切りの最中には升席で急病人が出て担架で運ばれる騒ぎがあり、横綱の目にも入ったが「無事だったらいいけどね」と心配する余裕さえあった。前日の黒星を全く引きずらず、横綱通算671勝で北の湖を超えて歴代単独トップに。初顔への連勝も26に伸びて昭和以降3位タイに。「相撲ファンの皆さまに1勝の重さが、きのう分かったんじゃないかな。横綱でも負けるっていうね」。たかが1つの黒星で簡単に心が動くような人物ではない。

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