松山米ツアー2勝目!「人生で一番良いパット」からPO粘り勝ち

[ 2016年2月9日 05:30 ]

米ツアー2勝目を飾った松山(AP)

米男子ゴルフツアー フェニックス・オープン最終日

(2月7日 米アリゾナ州スコッツデール TPCスコッツデール=7266ヤード、パー71)
 3度目の正直だ。首位と3打差の2位から出た松山英樹(23=LEXUS)が4バーディー、ボギーなしの67で回って通算14アンダーの270でリッキー・ファウラー(27=米国)と並び、プレーオフを4ホール目で制して逆転優勝。14年は4位、昨年は2位と優勝争いに絡みながらも惜敗した大会で、14年6月のメモリアル・トーナメント以来、2季ぶりの米ツアー2勝目を飾った。日本人の米ツアー優勝は通算4人で計7度となり、複数回優勝は03年までに3勝した丸山茂樹に次いで2人目の快挙となった。

 過去の自分に打ち勝った。14年は4位。昨年は決めればプレーオフという6メートルのバーディーパットを外して1打差の2位だった。2度の悔しい結末を乗り越え、松山が優勝トロフィーを手にした。

 「たくさんのファンの前で勝ててうれしい。2勝目を挙げることが目標だった」

 3打差で追った首位リーがボギーを重ねて優勝争いから脱落した。しかし、ファウラーと一騎打ちの後半も、16番終了時で2打差の2位。「今年も無理かな」。ところが17番パー4でドラマがあった。ファウラーが第1打を“池ポチャ”。「まだチャンスがあると思った」。3Wでグリーン近くに運んでアプローチを50センチに寄せ、バーディーで首位に並んだ。18番はファウラーがショットを3メートルにつけたが、先に5メートルのバーディーパットをねじ込んだ。「ゴルフ人生で一番良いパット」が決まってプレーオフだ。

 ファウラーはツアー屈指の人気選手。「99%は僕の応援じゃない。逆に勝ってやると強気になった」と闘争心に火が付いた。3ホール目までは一歩も譲らず、17番を使った4ホール目でファウラーが再び第1打を池に落とした。松山は2打目のアプローチを1・5メートルにつけた。これは外したが、2パットのパーで勝負あり。「久々の優勝だけど終わり方が良くない」と苦笑いも、2季ぶりの勝利は格別だった。

 帰国の際には大阪府豊中市内のジム「B2ファクトリー」に足を運ぶ。プロ野球・阪神の西岡剛らも通うジムで、松山は上半身の3倍にあたる15種類、1時間半に及ぶメニューで下半身をいじめる。「特にお尻と太腿の強さはゴルファー離れしている。野球ならホームランバッター級」と同ジムの秀島正芳氏は証言する。13年のプロ転向当初は82キロだった体重は90キロまで増加。ウエアのサイズは2回り大きくなった。「お尻の強さもあってスムーズでダイナミックなスイングをつくれている」(秀島氏)と強靱(きょうじん)になった下半身が正確なショットを支えている。4日間のパーオン率は1位の77・78%で、さらに第3および最終ラウンドは88・89%に達する。

 世界ランクは自己最高12位に浮上。4月にメジャー第1戦のマスターズが控える。昨年は自己最高の5位。優勝で弾みをつけ、メジャー制覇へ期待も高まる。「メジャーに勝ちたいという気持ちは変わらないが、それまでに何試合もある。やるべきことは多い」。2勝目も通過点。怪物はその先の目標を見据えた。

 ▽フェニックス・オープン 32年にアリゾナ・オープンとして第1回大会が開催されたのが始まり。米アリゾナ州のTPCスコッツデールで開催される。ツアー屈指の観客動員数を誇る大会で、今年は1週間で61万8365人の過去最高動員数を記録した。プレーオフは18番を2回繰り返し、その後は10番、17番を使用する変則的な方式を採用。

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2016年2月9日のニュース