リオ五輪にまた難題、競技場などでジカ・ウイルスチェックへ 対応後手

[ 2016年1月26日 15:50 ]

ジカウイルスを媒介するネッタイシマカ(AP)

 リオデジャネイロ五輪で使用される全競技施設と選手村で、現在米大陸で感染者が急増しているジカ(ZIKA)ウイルスのチェックが大会期間中に行われることになった。

 ジカ・ウイルスはデング熱などのウイルスも媒介する蚊の一種「ネッタイシマカ」を通じて感染するもので、妊婦が感染すると胎児の頭部が異常に小さくなる「小頭症」を引き起こす恐れが指摘されている。

 米AP通信によれば、もともとアフリカ大陸のみにあったウイルス。しかしその後アジア地域に広がり、サッカーのW杯と国際カヌー大会(ともに14年に開催)の観戦者によって南米に持ち込まれたとする研究者もいる。

 ブラジル国内での症例報告は、14年の段階では150件ほどだったが15年になって3893件に急増。世界保健機関(WHO)によれば、このウイルスは米大陸にある55の国と地域ですでに存在していることが確認されており、ブラジルでは昨年5月から北東部を中心にして感染エリアが拡大した。米大陸ではいわゆる「ジカ熱」の流行の経験がなく対応は後手に回ったまま。ワクチン製造までは3年以上かかる見込みで、リオデジャネイロ五輪までには間に合わないことが確実視されている。

 大会組織委では五輪開催の時期が南半球では気温の低い夏になることから「蚊の発生は少ない」と楽観視しているが、リオデジャネイロでは昨夏に最高気温が何度も30度を超えており予断を許さない状況。下水処理場の不備による河川と海の汚染、経済停滞による予算不足、競技施設建設の遅れ、チケット売れ行きの極度の不振など多くの案件を山積みにしている時期に、さらにやっかいな問題がわき起こってしまった。

 すでに米国など一部の国々では妊娠中の女性に対してブラジルを含む中南米への渡航を自粛するように勧告。仮に五輪の施設内で検査を実施しても発病してしまうと対処方法はなく、ただでさえぐらついている五輪の開催と運営にさらに大きな影響を与えることになりそうだ。

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