リオ五輪まで200日…バドミントン・桃田、金メダルへ変“身”

[ 2016年1月18日 15:00 ]

リオデジャネイロ五輪の目標として「金メダル」を掲げる桃田

 リオデジャネイロ五輪開幕まで、18日であと200日となった。バドミントン男子シングルスの桃田賢斗(21=NTT東日本)は昨年、国際連盟主催のスーパーシリーズ(SS)で2勝を挙げ、年間上位8人で争う同ファイナルで日本男子として初優勝を飾るなど大ブレーク。一躍、五輪メダル候補に躍り出た。世界に通用するヘアピンショットが最大の武器だが、さらなる高みを目指して肉体改造にも着手。初の夢舞台で金メダルを狙っていく。

 夢が現実の目標に変わった。21歳の桃田は20年東京五輪で活躍が期待されるホープという存在から、リオデジャネイロ五輪でメダルが狙えるエースへと駆け上がった。「リオから本気の勝負。五輪は憧れだったけど、もう出るだけじゃ満足できない。金メダルを狙う」。決してビッグマウスではない。世界で結果を出し、その言葉が実現可能なところまで来ている。

 最大の武器はネット前にふわりと落とすヘアピンショット。パワーで勝る海外選手を崩す技で、甘い返球を誘ってスマッシュで仕留める形になる。「ずるいと言われればそれまでだし、でも崩して勝てば勝ちは勝ち」。着目すべきはその正確さだ。日本代表の舛田圭太コーチは「球への入り方、足の運び方がいつも変わらない。だから精度の高いヘアピンが打てる」と説明する。他の選手は反応が遅れてフォームを崩すため有効打にならないことがある。しかし、桃田は動きだしが早く、スムーズに足を運んで自分の形、間合いで拾うためショットがぶれない。「夢中だった」という年少期からの反復練習が土台となっている。

 アスリートとしての自覚が飛躍につながった。12年世界ジュニア選手権を制し、13年にシニアに転向。だが高い技術力も海外勢の体格とパワーに屈した。「こてんぱんにやられた」。14年5月の国・地域別対抗戦トマス杯では出場5試合全勝で世界一に貢献したものの、同年夏には体重がベストより5キロ以上重い80キロ近くまで増え、膝に痛みを感じるまでになった。「ヤバイ」。危機感を覚え「何か変えないと海外選手には勝てない」とこれまでおろそかにしていた食事面、生活面の改善に目を向けた。

 国立スポーツ科学センター(JISS)の管理栄養士である松本なぎささんから指導を受け、大好きだった炭酸飲料をやめ、苦手な朝も起きて朝食を口に運んだ。「ダイナミックな食生活でした。“大胆やね、伸びしろしかないよ”と話しました」と松本さん。嫌いな野菜も積極的に取り、炭水化物や乳製品など課題の体力強化のための食事も理解。昨年は成果が成績に直結したが「あと2段階くらいフィジカルを強化しないと」と気の緩みはない。世界一へ、無限の可能性を秘める。

 試合前の決まったルーティンや験担ぎはない。好きな言葉や座右の銘を聞くと「そういうのないんです。ん~、自由奔放かな」といたずらっぽい顔を見せる自由人。「テニスの錦織選手じゃないけど、勝てない相手はいないと思う」と自身に言い聞かせるように世界との距離感を確認する。「愛される選手になりたい」と話す21歳。金メダルをつかみ、桃田の名を世界に知らしめる。

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