青学大39年ぶり“完全制覇”で連覇 区間賞6人!全員がヒーロー

[ 2016年1月4日 05:30 ]

39年ぶりの箱根完全制覇で連覇を果たし、渡辺利(右端)ら選手から胴上げされる青学大・原晋監督

第92回東京箱根間往復大学駅伝復路

(1月3日 箱根・芦ノ湖~東京・大手町5区間109・6キロ)
 青学大が“完全優勝”を果たした。往路、復路ともに一度も先頭を譲らない優勝は77年大会の日体大以来、39年ぶりの快挙。昨年の10時間49分27秒には届かなかったが、10時間53分25秒で2連覇を達成した。全10区間中6区間で区間賞を獲得。2位の東洋大に7分11秒差をつけた。往路優勝校が総合優勝に輝いたのは5年連続。選手層の厚さと隙のない走りは、青学大の黄金時代到来を予感させた。

 大手町に笑顔の花が咲いた。10区渡辺利典(4年)は力強くガッツポーズし、ゴールを駆け抜けた。足を止めないのは最高の仲間が待っているから。メンバーと抱き合い、もみくちゃにされ、そして、真っ先に胴上げされた。「最高のゴールでした」と笑顔を爆発させた。

 6区のルーキー小野田勇次が区間タイ記録の快走で往路からの流れを引き継いだ。原晋監督(48)は「完全優勝にこだわりはなかった。結果としてなっただけ。ハッピー指数は300%に上がりきりましたね」と目を細めた。区間賞も前回の5人から6人に増えての2連覇。往路出発時の2位東洋大との差も3分4秒から7分11秒差にまで広げ「学生最強集団だと証明できた」と胸を張った。

 今回は全員がヒーローになった。前回の初優勝でスポットライトを浴びたのは5区“山の神”神野大地(4年)とサラリーマンから転身した原監督だった。新体制最初のミーティングで指揮官は「(今季は)力のある4年生を中心に(優勝を)勝ち取ってほしい。君たちがヒーローになる番だよ」と声を掛けたという。シーズン序盤は講演やスカウト活動など多忙な指揮官からあまり指導を受けられなかったこともあり、神野主将は「自分たちだけでやらないとと腹をくくった」と自然と自立心が芽生えた。

 今季は4年生が話し合い、レベルアップのために自主性を重んじ、遅刻などの罰則で丸刈りにするなどの取り決めをなくした。掃除も1年生から4年生まで一緒に取り組んだ。「ただ丸刈りや掃除をして終わりではなく、普段から陸上への意識を高めて自分で考えて行動することに意味がある」と内村亮主務。チームに明るさが出た一方で、緊張感に欠けた11月の全日本大学駅伝では2位。学生駅伝3冠の夢が途絶えたことがカンフル剤となり、箱根2連覇へ向けてチームは一丸となった。

 大会前に「(前回)優勝した後、原監督に全部持って行かれた。テーマは復讐(ふくしゅう)」と話していた10区の渡辺利は区間賞を獲り「これで監督に注目さえ行かなければ、達成されます」とすがすがしい表情で語った。神野も「チーム全員で本気で狙いに行って勝てたので去年以上の喜びを感じる。常勝チームになれる」と笑顔。テーマに掲げた「ハッピー大作戦」は最高の形で完結した。同時に1年たって自立し、たくましくなった最強軍団の黄金時代がこの日、幕を開けた。

 ▽完全優勝 青学大が77年の日体大以来、39年ぶりに達成。早大、中大、明大、日大、日体大に続き6校目で、12回目。77年の日体大は当時1500メートル日本記録保持者の1区石井隆士が2キロ付近から飛び出すと、独走態勢を築いた。往路では3区、復路では6、7、9区でも区間賞を獲得。2位の東農大に2分54秒差をつけての完全優勝だった。

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