【箱根駅伝】東海大・湊谷 野球仕込みの健脚ルーキー

[ 2016年1月1日 13:21 ]

東海大のルーキー・湊谷

 野球少年だったあの頃、言われるがままに校庭を走った姿が、湊谷春紀(1年)の原点だ。陸上部が存在しなかった秋田・平和中時代は野球部で2番センター。「ミスしたら走る。先生の機嫌で“俺がいいって言うまで走れ”と言われる」。練習で失敗すると馬のように走らされた。

 憧れの存在だったのはプロ野球・巨人の高橋由伸外野手(現巨人監督)で、竹製のバットで素振りをし、右投げ左打ちまでまねをした。ところが、チームは県大会にも進出できず、地区大会の1回戦で敗退。この時流した汗は、なかなか報われず、秋田工高に進学すると「新しいことに挑戦したい」と野球を“引退”。ついに、鍛え上げてきた脚を生かす時がやってきた。

 「陸上の方が努力した分、結果がついてくる。面白い」。選択は間違ってなかった。練習は実を結び、高校3年で開花。国体少年男子A5000メートルで3位に入ると「全国でも戦えるかなと思った」と自信が芽生え、箱根駅伝を意識するようになった。すると、同世代では5000メートル高校生トップの13分57秒29を記録。当時から練習参加していた東海大に進むと、かつての野球少年は1年で箱根デビューを果たすまでに変身した。

 出雲駅伝は2区5位、全日本大学駅伝も3区3位。安定した成績を残す中、今月に入って1万メートルの自己ベストを更新。28分46秒59というタイムにも「28分台は箱根を走る上では最低限」と満足はない。箱根初陣は1区か3区の起用が有力。「前半区間を走ってチームの流れをつくりたい。役割を果たしたい」。在学中に総合優勝することを目標に掲げるホープ。「努力は裏切らない」という言葉を体現してみせる。

 ◆湊谷 春紀(みなとや・はるき)1996年(平8)4月25日、秋田県大仙市生まれの19歳。秋田工高で陸上を始め、3年時の国体少年男子A5000メートルで14分0秒71で3位。同距離の自己ベストは昨年の日本人高校生トップの13分57秒29。今年は千葉国際クロスカントリーで3位。家族は両親と弟。1メートル71、57キロ。

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2016年1月1日のニュース