【箱根駅伝】東洋大・口町亮 夜間学部の“口町ロケット”発射

[ 2016年1月1日 13:20 ]

東洋大の口町

 初の箱根で口町が激走を見せる。昨年度までの大学駅伝出場経験はゼロながら、今年の出雲駅伝4区区間賞で鮮烈なデビューを飾ると、全日本大学駅伝でも3区区間賞でMVP。口町自身が「今まで注目されることはなかったので、びっくりしている」と漏らすほどだ。箱根は6区に入り、酒井俊幸監督は「勢いある選手。主役になってほしい」と期待。眼鏡がトレードマークで、長身を生かしたダイナミックな走りで一気に山を下る。

 夜間学部に通う異色のランナーでもある。東洋大のイブニングコースの法学部に在籍。平日の午前は5時10分集合の全体で行う朝練習に合わせて起床し、7時ごろまで走る。朝食後、授業のない学生らと少人数で10時から約2時間、メーンの練習に取り組む。昼食後に昼寝などで体を休め、授業に出るために午後は4時に川越市の寮を出発。文京区の白山キャンパスで6時15分から9時25分まで勉学に励む。11時すぎに帰宅して入浴、就寝と息つく暇はない。

 3年目の開花。前回の箱根では4区の給水を担当していた男が、優勝候補を脅かす存在にまで成長した。自身の飛躍を「生活面で慣れたこと」と分析する。厳しい二重生活の中で練習メニューをきっちり消化し、11月の上尾ハーフでも自己ベストを更新するなど好調をキープ。青学大の原晋監督が「“口町ロケット”気になります。発射台スタンバイ」と警戒を強めたほどだ。

 箱根駅伝に特別なこだわりはなかった。「寝てました。見ても長いので」と大学入学後に初めて往路、復路全てを見たという。のほほんとしたマイペースな性格もチームの“いじられキャラ”として定着。「任されたところをしっかり走るだけ。(気負いは)ないです」。“口町ロケット”が東洋大奪冠のキーマンとなる。 (後藤 実穂)

 ◆口町 亮(くちまち・りょう)1994年(平6)7月11日生まれ、埼玉県川口市出身の21歳。市川口高3年時に高校総体5000メートル、3000メートル障害に出場。今年の出雲駅伝4区区間賞、全日本大学駅伝3区区間賞。自己ベストは1万メートルが29分13秒64、ハーフマラソンが1時間3分29秒。1メートル79、62キロ。

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