【岡崎真の目】羽生、残る課題は…ミスをどこで立て直すか

[ 2015年12月27日 10:00 ]

ウイニングランも心なしか元気ない羽生

フィギュアスケート全日本選手権第2日・男子フリー

(12月26日 北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
 羽生のフリー冒頭の2発の4回転はGPファイナルに勝るとも劣らぬ出来で、出来栄え評価(GOE)による加点はMAXの3点。練習中のアクシデントの影響も感じさせず、さらなる最高得点更新の可能性も感じさせた。ところが、3発目の4回転で転倒すると、得意のトリプルアクセルでも転倒。続くジャンプもリズムを失っていた。1カ月半の間に3試合。独特の緊張感がある全日本選手権という舞台も相まって、最後は体力的にきつかったという面もあっただろう。

 ただし、今や羽生は絶対王者に近い存在。NHK杯、GPファイナルとほぼ完璧にジャンプをこなしただけに、不安があるとすれば、ミスがあったときの立て直しだと思っていた。ノーミスは演技者としては気持ちが乗りやすく、ペースを保ちやすい。ただ、毎回ノーミスというのは至難の業。ミスがあったとき、どこで立て直すか。ここが得点では測れない、スケーターとしての「強さ」が表れるところだ。

 SPで1度、フリーで2度の転倒がありながら、2位に20点近くの差をつける強さは本物だ。気持ちのコントロールという課題を得て、さらに進化できるのではないか。前日のSPでは冒頭の4回転で転倒しながら、その後のプログラムを丁寧に演じきっている。準備はできていると思う。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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