八角新理事長、波乱の船出…来月選挙 任期3カ月に疑問の声

[ 2015年12月19日 05:30 ]

就任の記者会見を終え席を立つ日本相撲協会の八角新理事長

 日本相撲協会は18日、東京・両国国技館で理事会を開き、11月20日に62歳で死去した北の湖前理事長(元横綱)の後任に、理事長代行を務めていた八角事業部長(52、元横綱・北勝海)を決めた。高砂一門からの理事長就任は初めて。任期は来年1月の役員候補選挙を経て新体制が発足する3月まで。一部の理事からは残り任期3カ月のタイミングでの選出に疑問の声も上がった。

 協会の序列通りの後任人事だった。理事12人(外部3人含む)の互選により、No・2の事業部長から昇格した八角新理事長は「責任の重さをあらためて感じています。北の湖理事長の思いを後世に残さないといけない。土俵の充実は絶対です」と北の湖前理事長の遺志を継ぐことをあらためて口にした。

 13代目の理事長誕生で、高砂一門からの就任は初となった。2年置きの改選となる次回の役員候補選挙が来年1月下旬に控えており、今回の任期はあくまで3月までだが「伝統を守りつつ、改革していかなければいけない。力士が力を出せる環境づくりを考える。(ケガ人減少のために)国技館の中に病院と一体となってリハビリセンターをつくれたらいい」と長期的なビジョンを語った。

 しかし、先行きは不透明だ。今回、全理事が新理事長誕生を歓迎したわけではない。神山敏夫監事(公認会計士)によると「満場一致ではない。(1月に)選挙があるから、代行のままでいいんじゃないかという意見があった」という。新理事長を立てるべきか、代行のままで乗り切るかで、11人(八角代行除く)の意見は6対5で分かれた。外部の宗像紀夫理事(元東京地検特捜部長)は「今回決める理由がない。理事長だって、代行だって権限は同じ」と任期3カ月の新理事長選出に疑問を投げかけ、審判部長の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は「協会を早く安定させる必要はあるが、焦って決めても仕方ない」と話した。

 今回の会議に2時間10分もの長時間を要したのは大黒柱の北の湖理事長を失った相撲界が一枚岩ではないことを物語っている。来春の新体制で八角理事長が引き続きトップの座を守れるかは未知数。八角政権は波乱含みの船出となった。 

 ◆八角 信芳(はっかく・のぶよし)1963年(昭38)6月22日、北海道広尾町生まれの52歳。元横綱・北勝海。79年春場所初土俵。87年夏場所後に第61代の横綱へ昇進。優勝8回。92年夏場所前に引退。93年9月に年寄「八角」を襲名し、九重部屋から独立して部屋創設。12年に理事に初当選。広報部長などを歴任し、14年から協会No・2の事業部長を務めた。血液型A。

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