羽生「王」の座譲らない 前人未到GPファイナル3連覇から帰国

[ 2015年12月16日 05:30 ]

GPファイナル3連覇を果たして帰国した羽生は多くのファンに迎えられ、はにかむ

 フィギュアスケートのGPファイナルで世界最高の330・43点をマークし、史上初の3連覇を達成した羽生結弦(21=ANA)が15日、羽田空港着の航空機で帰国した。京都・清水寺で今年の漢字が発表されたことにちなみ、自身の今年を表す漢字には成長の「成」を挙げ、4回転ループなど来年以降のさらなる難度の高いプログラムへの挑戦にも意欲。25日に開幕する次戦の全日本選手権(北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)では4連覇に挑む。

 羽生が趣味だという将棋では、「歩兵」は敵陣深くに進むと「金将」と同じ「と金(成り金)」に変わる。羽生は一年の歩みをこれに例えた。「成長という言葉を挙げたい」と言った後に「“成”でいい」と答え直し、「(織田)信成さんにかけてるわけじゃないですよ」と笑って付け加えた。

 「これまで歩兵のように一歩一歩進んでやっとここまで来られた。そして、ここからまた動き始める。さらに強くなっていきたい」

 史上初のGPファイナル3連覇を達成し、NHK杯に続いて世界最高得点も更新した。この日はファンや居合わせた利用客ら約300人が待ち構える中、歓声と目がくらむほどのフラッシュに出迎えられた。ただし、熱気の中心にいる羽生は意外と冷静。興奮の度合いはNHK杯の方が高く、「今回は安堵(あんど)感の方が強かった」というのが本音。帰りの機内で新聞の1面になっているのを見て驚いたほどだったという。

 前に一つずつしか進めない歩兵は、と金に成れば縦横斜め前にも動ける。さらに強くなるために、どんな手を打つのか。13日のエキシビションで挑戦した「4回転ループ」を取り入れることも一つの方法だ。

 現在のプログラムにある4回転サルコーと4回転トーループは、基礎点がそれぞれ10・50と10・30。出来栄えを示すGOEは、今大会ではいずれも最大の3点を得ている。4回転ループならば基礎点は12・0に上がるが「まだ加点をもらえるレベルではない」。今後4回転ループを組み込む可能性について「そこは要相談。ループとサルコー、トーループの点数差を考えて、何が最善か、最高かを考えたい」と来年以降の課題とした。

 「今のプログラムも今の実力から計算された最大のプログラム」と言うように、ノーミスで世界最高水準の演技を続けることも当たり前ではない。「宇野選手や村上選手に負けないように。期待を受け止めて力を発揮できる状態を作りたい」。成長の一年を締めくくるのは、4連覇が懸かる全日本選手権の舞台だ。

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2015年12月16日のニュース