クール&ナチュラル&スムーズ 羽生「頂点」達した 岡崎真氏解説

[ 2015年12月12日 07:00 ]

ジャンプをすべて成功させた後にステップに入る羽生

フィギュアスケートGPファイナル

(12月10日 スペイン・バルセロナ)
 より高得点を目指してジャンプを高難度にし、要素の順番を入れ替えるなどシーズン途中で変更した羽生のSP。NHK杯ではまだ完全にはこなれていない印象だったが、この日は非常にスムーズだった。GP初戦のスケートカナダで顕著だった間の取り方や呼吸のタイミングなどの「魅せるポイント」を、新たな形で見いだしたようだ。さらに、気迫が前面に出ていたNHK杯より、今回はクール。プログラムに慣れてくると演技が過剰気味になることもあるが、ナチュラルだったのは感情の制御が利いていたからかもしれない。

 連続ステップが最高のレベル4ではなくレベル3となったが、GOE(出来映え評価)による加点はレベル3としては満点で、指摘するほどの取りこぼしではない。3つのジャンプにほぼ完璧なGOE加点があったことや、5項目の演技点の中に10点満点が出たのは審判も「これ以上ない」と認めた証明だと思う。

 連続ジャンプを後半に実施するなど、さらなる加点を目指す方法はあるが、この日の演技は一つの頂点だろう。スケートカナダでチャンに敗れたあと、短期間の間に突き抜けた羽生。今後、その進化を決めるのは追う選手のレベルアップしかないのではないか。そう感じさせるほど抜きんでたパフォーマンスだった。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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