真央、女王の舞い GPファイナル史上最多V5へJRAも“後押し”

[ 2015年12月11日 05:30 ]

有馬記念のフェンスを前に滑る浅田

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(スペイン・バルセロナ)に出場する浅田真央(25=中京大)が11日に女子ショートプログラム(SP)を控え、10日に公式練習に参加した。今大会はJRA(日本中央競馬会)がフィギュアで初めてオフィシャルスポンサーになりリンクを囲むフェンスにはグランプリ・有馬記念(12月27日)の広告も。男女通じて単独最多となるファイナル5度目の優勝で浅田が“グランプリ女王”を襲名する。

 バルセロナのリンクに馬がいた。氷を囲むフェンスには、有馬記念の文字と昨年の優勝馬・ジェンティルドンナの広告があった。その前を浅田が軽快に滑っていく。JRAが、初めてフィギュアの大会のオフィシャ ルスポンサーに。JRA広報部は「フィギュアでは初の試みです。有馬記念の文字を出させていただいて競馬のグランプリもありますよ、とアピールしたい」と意図を説明した。

 フィギュアはテレビ放送で常に高視聴率をマーク。視聴者には女性が多いというデータがあり、女性ファン開拓のため、JRAは2000万~3000万円とみられるスポンサー契約料を投じた。女性に圧倒的な人気を誇るソチ五輪金メダリストの羽生結弦だけでなく、今季は浅田も復帰。契約がまとまったのは浅田がGP復帰戦の中国杯を滑る前だったが、「浅田さんが出ることで注目は更に高まる。頑張ってほしいと思っていた」とJRA広報部は話した。

 浅田はSPを11日に控え前日(9日)、この日と公式練習で汗を流し、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)にも成功。ジャンプのミスを重ねて3位に終わった11月のNHK杯は、「考 えすぎて集中しきれていなかった。技術においてもスケートに対する気持ちにおいても、あらためて見直しなさいと言われたような試 合だった」と振り返る。今はもう迷いはない。自分の演技に集中するだけだ。

 JRAの広告に使用されているジェンティルドンナは世界の強豪が集うジャパンカップを12、13年と連覇。昨年の有馬記念で7つ目のG1勝利を挙げ花道を飾った名牝。男女を通じて単独最多の5度目のファイナル制覇が懸かる浅田も希代の名スケーターだ。「技術ももちろん大切ですけど、それだけじゃなくて自分が表現したいものを皆さんにお見せできたらいい」。ターフを駆けるサラブレッドのように、強く美しくリンクで躍動する。

 ▼GPファイナル 国際連盟(ISU)が主催。GPシリーズの上位6選手、組だけが出場できるシーズン前半の世界一決定戦。03~04年シーズン以降は12月に開催され、スペイン・バルセロナでは2年連続の開催。浅田は男女通じて最多タイとなる過去4度の優勝。

 ◆ジェンティルドンナ 09年2月20日生まれの牝馬。栗東・石坂厩舎所属で通算19戦10勝、G17勝。ディープインパクト産駒で12年に史上4頭目の牝馬3冠を達成。12、13年には史上初のジャパンC連覇を成し遂げ、14年ドバイシーマクラシックで海外G1制覇。引退レースだった同年の有馬記念で有終の美を飾った。総獲得賞金17億2603万400円は歴代2位。馬名はイタリア語で「貴婦人」。

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