新井 女子70キロ級2年ぶり女王 不振脱出リオ代表グイッ

[ 2015年12月6日 05:30 ]

女子70キロ級で優勝し笑顔の新井(右)

柔道グランドスラム東京大会第2日

(12月5日 東京体育館)
 女子70キロ級は今年の世界選手権代表の新井千鶴(22=三井住友海上)が2年ぶりの優勝を飾った。大野陽子(26=コマツ)との日本人対決となった決勝では、延長を含めて合計7分29秒の熱戦を制した。世界選手権では女子7階級で唯一メダルを逃したが、不振脱出のきっかけとなる優勝でリオ五輪代表に前進した。男子81キロ級では世界王者の永瀬貴規(22=筑波大)が、準決勝でまさかの反則負けで3位に終わった。

 表彰台の真ん中で君が代を聴くのは2月の欧州遠征以来10カ月ぶり。「久しぶりで凄く気持ちよかった。こういう感覚を大事にしたい」。新井は勝利の味をかみしめた。

 初戦の2回戦から逆転勝ちで決勝も開始1分半で早々と指導3まで追い込まれた。しかし「決して負けている感じはなかった」と反撃。何とか残り12秒で追いつき、ゴールデンスコア方式の延長戦へ。互いに消耗し尽くし、最後は「何が何でも負けないんだ」という執念で延長3分29秒の大野への指導を引き出した。

 20年東京五輪まで狙えるホープとして期待されていたが、今年は「とことんまで落ちた」。7月に左膝を痛め、初出場の世界選手権では個人で女子唯一のメダルなし。知らず知らずのうちにリオ五輪を意識し、持ち味の思い切りの良さもうせていた。「自分自身が何をしたいか。周りじゃない。周りを見過ぎちゃいけない」。そんな周囲からの助言でようやく立ち直るきっかけを得た。まだ本調子とはいえないが、がむしゃらにつかみ取った優勝には意義がある。

 決勝の後、全日本柔道連盟の山下泰裕副会長からは、試合序盤で2度続けて「場外」の指導を受けたことを直接注意された。「リオではああいうミスが命取りになるぞ。堂々と真ん中でやれ!」。今大会を欠場した田知本遥(ALSOK)との代表争いはまだ続く。リオの畳で、そして表彰台で真ん中に立つために、新井がどん底から再浮上するきっかけをつかんだ。

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2015年12月6日のニュース