協会失態 トップL開幕戦チケット完売のはずが観客昨季以下

[ 2015年11月14日 05:30 ]

<パナソニック・サントリー>チケット完売にもかかわらず、空席の目立つ秩父宮ラグビー場

トップリーグ第1節第1日 パナソニック38―5サントリー

(11月13日 秩父宮)
 空前のラグビーブームに冷や水を浴びせ幕開けだ。トップリーグはA組1試合で開幕し、3連覇を目指すパナソニックが38―5でサントリーに圧勝し、勝ち点5とした。今月8日にチケットの一般販売分が完売し、当日券販売も行われないほどの盛り上がりの中での一戦となったが、フタを開けてみればバックスタンドの両サイドは完全に空席となる事態。観客数も1万792人にとどまり、日本ラグビー協会関係者は異例の謝罪対応に追われた。

 午後7時の選手入場。勇ましいBGMとともにピッチへ歩みだした選手の目に飛び込んだのは、あまりに寂しい光景だった。バックスタンドの中心は両チームのサポーターが埋めたが、両サイドはポッカリと空席が広がった。インゴール裏も屋根付きの南スタンドだけ、まばらに人が座っている程度。空前のラグビーブームの中の開幕戦は、前年開幕の1万1162人すら割ってしまった。

 「日本ラグビーのために」が口癖で、W杯でも死力を尽くしたパナソニックのSH田中は、ストレートに不満をぶちまけた。

 「ビックリした。(ピッチに)入ったらいつも通りで。結局、何も変わってなくてイラッとした」

 試合終了1時間後、報道陣に対して異例の謝罪に追われた日本協会の説明はこうだ。今回のチケット販売数はパナソニックとサントリー両チームへの販売分が9000枚、一般販売数が5000枚。回数券やスポンサー配布分などを含め、総計2万人分のチケットが世に出回った。一般販売5000枚は8日に完売したが、その他のチケットでの入場者数を多く見込みすぎたため、一般販売分は“プラチナ化”した。

 日本協会の菅谷靖チケットセールス部門長は「一般販売分、チーム販売分、いつでも使えるチケットの3つを予測して、一般分を割り出す。まだ分析はできていないが、推測ではいつでも使えるチケット分を実態以上に多く見積もってしまった」と弁明したが、あまりにお粗末な事態。小西宏事務局長も「プロとは呼べない」と非を認めた。

 4年後の19年にはW杯を控える日本ラグビー。「試合には勝ったけど、“ラグビー”として負けです」と田中。あまりに寂しいその言葉が、ミックスゾーンにこだました。

 ▽今季のトップリーグ 16チームをA、Bの2組に分け、8チーム総当たりのプール戦を実施。来年1月9日から各組1~4位と5~8位による順位決定トーナメントを実施し、1~16位までの全ての順位を決定する。プール戦は勝ち=4、引き分け=2、7点差以内の敗戦=1、勝敗にかかわらず4トライ以上=1の勝ち点が与えられ、総勝ち点で順位を決定。トーナメント戦で勝敗が決まらない場合は10分間のサドンデス方式の延長戦を行い、勝負がつかない場合はキッキングコンペティションを実施する。優勝チームが日本選手権に進出、下位4チームは入れ替え戦に回る。

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