ラグビー、流行語候補は五郎丸より「ジャパンウエー」が望ましかった理由は

[ 2015年11月12日 09:00 ]

ラグビーW杯で南アフリカを破った日本代表フィフティーン(AP)

 毎年恒例の「新語・流行語大賞」候補が発表され、ラグビー関連で「五郎丸ポーズ」「ルーティン」が入った。五郎丸のプレーはW杯イングランド大会のドリームチーム(ベストフィフティーン)選出にふさわしかったし、あのポーズは誰もがまねするほどブームとなった。だが、ラグビーの歴史を変えたジャパンのヒーローは一人じゃない。できればチーム全体を象徴する「ジャパンウエー」が流行語になってほしかった。

 主催者が五郎丸を表彰式に呼びたいがための候補入りだろうが、個人にスポットを当てすぎるとブームも冷めやすく、19年W杯日本大会の成功に重要な、ラグビーそのものへの世間の関心が高まらない気がする。宮崎大輔のことは知っていても他のハンドボール選手の顔が覚えられていないのと同じだ。それだけに、リオデジャネイロ五輪キップを勝ち取った7人制男子日本代表は五郎丸以外のラグビーに目を向けさせる意味でもありがたかった。さっそく、松井千士(同大)が“ポスト五郎丸”のイケメンとして取り上げられている(しかも好青年!)が、これを機に20年東京五輪でも実施される7人制への注目が高まれば、「五輪を目指してみよう」と思う子供も増えるのではないか。

 そして、重要なのが13日に開幕するトップリーグだ。ヤマハ発動機の清宮克幸監督が「新しい観客が見に来てくれると思う。ラグビーは楽しいね、と思わせる試合をしないといけない」と話すように、ブームを一過性で終わらせず、常にスタンドが賑わう状態をつくり出すスタートのシーズンとなる。幸い、選手たちの士気は高い。日本代表プロップの畠山健介(サントリー)はW杯で優勝したニュージーランドを挙げ、「あのチームに勝てるようにならないと。4年後は決勝の舞台に立つ意気込みで臨まないと、結果は出ないと思う」と訴える。日本代表前ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏は、ここ数シーズンのトップリーグを「レベルが高くない」と酷評していたが、選手側としてはエディーを見返すような、ハイレベルなアタッキングラグビーで魅力を発信したい。

 新規のファンには「ラグビーは五郎丸だけじゃない」と興味を広げ、継続してもらうことも大切だ。試合後に選手と触れ合える「グリーティングタイム」は全試合で実施すべきだし、プレーをよく見てもらうために携帯やスマホの投票で「この試合最初のトライスコアラー」を予想し、観客が表彰できる企画があってもいい。カメラマンからは「観客が選手を見分けやすいように、ジャージーの前側に番号を付けた方がいいのでは」という意見もある。「スーパーラグビー?日本にはトップリーグがある」と胸を張って言えるようにする努力は、いくらでもできる。(中出 健太郎)

続きを表示

この記事のフォト

2015年11月12日のニュース