【砂村光信の目】五郎丸 イチロー選手に通じる「自分の形」身につけ飛躍

[ 2015年11月3日 08:35 ]

ゴールキック前に行う“五郎丸ポーズ”

 29歳と遅咲きながら、五郎丸は今回のW杯で世界基準の選手であることを証明した。1メートル85、99キロのサイズは強豪国のFBにも見劣りしない。4年前はまだ線が細かったが、練習で鍛え上げてコンタクトプレーで体を張れる肉体に変わった。

 攻撃的な他国のFBに比べるとスピードは物足りないものの、ランは力強く、前へ出てボールを生かすプレーをする。何よりも正確なプレースキックがあり、今大会のFBで最も得点力があった。ディフェンス面ではエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)になって課題のタックルが格段に良くなった。厳しいディフェンスをしなければ信頼を得られないとあり、手先ではなく体ごとタックルするようになった。ジョーンズHCは最も成長した選手に挙げていたが、全てのプレーに代表としての責任感を持ち、信頼されるバックスリーダーとなっていた。

 成長の要因はメンタル面が強くなったことだろう。キックで言えばメンタルコーチの勧めでルーティンを取り入れたが、安定して実力を発揮できる自分のスタイルを身につけたことが大きい。現役時代にキッカーだった私も毎回同じ動きをすることで雑念が消え、平常心でプレーできた覚えがある。自分で間合いをつくり出すルーティンは、1球ごとにバットを投手方向へ向け、肩袖を持ち上げるイチロー選手にも通じるものがある。(元U―23日本代表監督)

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2015年11月3日のニュース