【ジャパンウエー奇跡と未来図4】軋轢恐れず戦ったエディーHC

[ 2015年10月17日 11:00 ]

帰国会見でW杯を振り返るジョーンズHC

 パシフィックネーションズ杯(PNC)で滞在中だった7月22日、米サクラメントの宿舎で、ジョーンズHCは呼び出したSH田中に対し顔を見るなり怒りをぶちまけた。スーパーラグビーから帰国し、遅れてPNCに合流した田中が渡米前、チームに不協和音があるなどと話したことが、一部新聞で大きく報じられたことに不満を持ったからだった。田中が「めちゃくちゃキレられた」と振り返る一幕。己の信念のためなら、周りとの軋轢(あつれき)を一切恐れない人だった。

 定期的に開かれた、各世代のヘッドコーチが一堂に会す選考会議。その席で、ジョーンズHCが常に不満を漏らしたのが、U―20や高校代表などの下の世代に、体の大きな選手が選ばれないことだった。特にロックとFWの第3列については「今のジャパンではサイズがないと厳しい」と言い続けた。しかし、その時点で力量や技術が足りなければ、たとえ身長2メートルを超えるロックでも選ばれることはない。どの世代であっても、将来の日本代表になれるポテンシャルを持った選手を選ぶべきと主張するジョーンズHCは、思い通りにならない選考に、会議のたびに紛糾の火種をつくっていたという。

 激情家とも言えるジョーンズHCが、一つだけ守っていた主義があるとすれば、女性には直接、怒りを向けないということだったが、それもPNCで禁が解かれた。8月1日、練習後の円陣で田中が一部選手の練習態度を激しい口調で糾弾した場面の描写が自身の意向がくまれずに報道されたことに激怒。選手らがいる食事室で、女性広報を叱責(しっせき)した。

 日本ラグビーを強くするためなら、妥協などしない。13日の帰国会見の最後に「変化を嫌う人もいる」と日本協会の一部幹部を非難したジョーンズHC。最初から最後まで戦い続けた4年間だった。(特別取材班)

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2015年10月17日のニュース