大畑氏が分析 「立ち向かえる」勇気植え付けた立川のタックル

[ 2015年10月5日 10:00 ]

<日本・サモア>トゥシ・ピシ(中央)にタックルする立川とブロードハースト

ラグビーW杯イングランド大会1次リーグB組 日本26―5サモア

(10月3日 ミルトンキーンズ)
 試合開始早々に見せたCTB立川のタックルがチームを奮い立たせました。1メートル85、111キロの巨漢WTB、A・ツイランギのタッチライン際のカウンターを体を張って止めにいきました。膝が左肩付近にまともに入り、立川は痛みましたが、味方に戦う姿勢を植え付けたはずです。体が小さい日本人でもパワーがあるサモアに真っ向から立ち向かえると。前半のポイントの一つになったと思います。

 No・8ホラニの守りも見逃せません。前半30分過ぎ、自陣になだれ込まれた場面は好タックルを浴びせてピンチ脱出に貢献しました。後半10分すぎにも密集で絡んでターンオーバーを演出しています。4年前はフランスとの初戦で右膝前十字じん帯を損傷。前半35分で彼のワールドカップは終わりました。今回も右足首痛でここまで2試合はメンバー外でしたが、本来の力を発揮しました。

 サモアは攻撃のリズムをつくれずにイライラしているのが伝わってきました。個々の突破でリズムをつくるチームが完全に分断されました。一つの判断ミスが致命傷になりかねない相手を1トライで抑えたのは、南アフリカ戦同様の豊富な運動量で圧力をかけ続けた結果です。スクラムにこだわってサモアを嫌がらせたのも効果的でした。

 前半終了間際のWTB山田のトライは鮮やかでした。彼はゲームの入り方が非常に良かったのが印象的です。前半5分のファーストタッチで自陣からいいカウンターを見せました。それで乗っていけたはずです。SO小野の仕掛けも光りました。サモアのSOT・ピシを狙って突破を図る場面が何度もありました。サントリーでおなじみのT・ピシは受けに回ると弱い選手。同じくサントリー所属の小野がそこをうまく突いて、ファンタジスタの翼を奪いました。

 南アフリカがスコットランドに勝利したことで、日本の自力突破の可能性はなくなりました。米国戦は消化試合になる可能性があります。しかし、こればかりはしようがありません。当初からターゲットは3勝1敗。あと1勝を積み上げて目標を達成すると同時に、日本のラグビーをもう一度、世界に発信してもらいたいです。 (神戸製鋼アンバサダー)

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2015年10月5日のニュース