エディーJ サモア戦で4Tボーナス点狙わず…決断悔いなし!

[ 2015年10月5日 05:30 ]

<日本・サモア>サモアに勝利し、選手を労うジョーンズHC

ラグビーW杯イングランド大会

 日本代表は3日の1次リーグB組第3戦(ミルトンキーンズ)でサモアを26―5で下し、史上初めてW杯1大会で2勝目を記録した。総勝ち点を8としたが、直後の南アフリカ―スコットランド戦(ニューカッスル)で南アフリカが34―16で勝利。南アフリカが総勝ち点11、スコットランドが10と日本を上回り、11日(日本時間12日)の米国戦(グロスター)を待たずに1次リーグ敗退の可能性がある。チームは一夜明けた4日、ウォリックの宿舎ホテルで会見を行った。

 たとえ敗退が決まっても決断に後悔はない。歴史的なW杯1大会2勝目から一夜明けての会見。ボーナス点のことを追及されると、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は選手の気持ちを代弁するように、怒り口調で言った。

 「できるのは米国に勝つこと。他の試合がどうなるかは気にしない。コントロール外のことは気にしていない」

 大きな決断が下されたのが3トライ3ゴール分に当たる21点差の後半29分。相手陣左中間のインゴールまで43メートルの位置でペナルティーを得た。南アフリカ、スコットランド相手にも決めたラインアウトモールからのトライを狙うか、PGで点差を広げるか。4トライ以上で与えられるボーナスを得るには、トライ狙いが賢明な状況だった。

 しかし、南ア戦の終了間際のペナルティーで、同点狙いのPGではなく逆転狙いのスクラムを選択したリーチ主将の決断はPGだった。SH田中が振り返る。「判断をする選手が何人かいて、何人かはタッチ(キック)でトライを狙おうと。半々くらいだった」。

 タッチを支持したのは田中の他にSO小野。フッカー堀江はPGを推した。話はまとまらず主将に判断は一任された。結局PGは外れ、その後は得点が動かず試合終了。試合2日前から「3トライを取っていても、残り10分あれば何が起きるか分からない。10分は(トライ狙いには)長すぎる」と話していた通り、主将はプランを完遂した。

 ただ、考えの不一致でムードが悪くなっていた以前のジャパンの姿はなかった。田中も「これまでなら“何でやねん”という思いを僕も持っていたんですけど、リーチに付いていこうと、自然とそうなった。そこがジャパンの成長したところ」と言う。4年間、苦楽を共にし、2年前から背中で引っ張るスキッパーを、誰もが尊敬する。ノーサイド直後、背番号6を中心に自然と広がった歓喜の輪がその証拠だ。

 体格で上回るサモアに対し、テンポの速い連続攻撃一辺倒ではなく、時にスローにして相手のオフサイドを誘い、前半だけで3度のPG機会を得た。賢く、冷静に戦い抜いたジャパンの戦士たち。史上初の1次リーグで3勝しての敗退チームになろうと、この激闘の記録は歴史に刻まれる。

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