エディーJ快挙!W杯初の大会2勝 主審“味方”にサモア圧倒

[ 2015年10月4日 05:30 ]

サモアに快勝し、スタンドの声援に応える大野(左から2人目)ら日本フィフティーン

ラグビーW杯イングランド大会1次リーグB組 日本26―5サモア

(10月3日 ミルトンキーンズ)
 世界ランキング12位の日本は1次リーグB組第3戦でサモアを26―5で破り、W杯史上初めて1大会で2勝を挙げた。前半から攻勢に出て優位に試合を進め、負ければ敗退の可能性が高まった一戦で勝ち点を8に伸ばして決勝トーナメント進出に望みをつないだ。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC=55)の下で強化を進めてきた日本は、11日(日本時間12日午前4時)の1次リーグ最終戦(グロスター)で米国と対戦する。

 再び新たな歴史を打ち立てた。日本史上初めてのW杯1大会2勝目。そして何より目標の8強の可能性を広げる白星だ。ジョーンズHCも「素晴らしいゲームをできた。サモアを完全にシャットダウンさせ、試合のペースを握れた」と称えた。

 戦略通りに主審を味方につけた。笛を吹いたクレイグ・ジュベール氏は、南アフリカ出身で11年の前回大会決勝を裁いた名審判。リーチ主将が「世界最高の審判の一人。いい印象を与えることが大切」と予告していた通り日本は試合開始から規律を徹底し、逆にハイタックルやオフサイドを繰り返すサモアの印象の悪さを主審に刷り込んだ。

 前半15分、18分とシンビン(一時的退場)を引き出し、相手が13人だった同23分にはペナルティーでスクラムを選択。7人だった相手が形を故意に崩し、認定トライを得てリードを広げた。作戦通りに主審を「16人目の選手」としたことで主導権を掌握。リーチも「フェアに吹いてくれた。練習から規律を守る癖が試合にも出た」と語った。

 初戦の南アフリカ戦で歴史的勝利を挙げた日本だが、中3日で迎えた9月23日のスコットランド戦(グロスター)は10―45で完敗。ジョーンズHCと出場した選手は疲労に敗因を求めなかったが後半のパフォーマンス低下は明らかだった。今回は中9日と休養も十分で、個人技頼みの相手を研究し尽くしたからこそのラグビーを繰り広げた。

 エディー流の「引き締め策」も効果的だった。サモア戦に向けて本格的な練習を再開した9月28日、歩きながらの連係プレーの確認を見た指揮官が、突然激怒した。冷静沈着なFB五郎丸に「クオリティーが低いと言われた。歩きながらの練習でクオリティーって何だと。理不尽な怒り方をしていたんで、ぶん殴ったろうかと思った」とまで言わせた“事件”。しかしリーチ主将も「それからスイッチが入った」と振り返り、五郎丸も「チームを引き締めるために必要なことだった」と言う。人心掌握にたける世界的名将のカミナリで再び31人が一つになった。

 後半にはWTB山田、CTBサウが負傷で交代。フランカーのツイが左ウイングに入り、フッカー堀江は右フランカーでスクラムを組んだ。緊急事態も乗り切ったジャパン。終盤は4トライによるボーナスポイントを狙える状況でも「残り10分でサモアが何をやってくるか分からなかったので」(リーチ)とPGを選択して勝負に徹するしたたかさを見せた。8強入りには他チームの勝敗も鍵。それでも今のジャパンには、劇的なドラマが用意されているはずだ。
 
 ▽1次リーグの順位決定方法 各組5チームの総当たりで勝ち点により順位を決定。各組上位2チームが準々決勝に進出。勝ち点は勝ち=4、引き分け=2、負け=0点。ボーナスポイントとして勝敗にかかわらず1試合4トライ以上で1点、7点差以内の負けに1点。2チーム以上が勝ち点で並んだ場合は(1)当該対戦の結果(2)総得失点差(3)総トライ数と失トライ数の差(4)総得点(5)総トライ数(6)1次リーグ最終日の12日時点の世界ランキング上位、の順で順位を決める。

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