大野、「37歳150日」代表最年長出場だ!10・3サモア戦

[ 2015年9月24日 09:30 ]

19日の南アフリカ戦に勝利し、笑顔を見せる大野(中央)

ラグビーW杯イングランド大会

(10月3日)
 日本代表は10月3日の1次リーグB組第3戦(ミルトンキーンズ)で、世界ランキング10位のサモアと対戦する。23日のスコットランド戦(グロスター)ではメンバー外となったロック大野均(37=東芝)だが、この試合に出場すれば37歳150日で日本代表のテストマッチ出場最年長記録を更新する。通算95キャップで日本最多記録を更新し続ける生けるレジェンドが、さらなる記録更新へ向かう。

 たとえメンバーを外れても、大野に休みはない。この日は試合に出場する23人を全力でサポート。チーム最年長だが積極的に荷物持ちも買って出て、スタンドでは仲間のために声をからした。

 37歳という年齢ながら、現在もトップレベルで活躍する大野に対し、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチも「37歳なのに驚きだ。練習でもいつも全力で、お手本になる選手」と賛辞を贈る。20代の若い選手にとっても過酷な中3日のスコットランド戦は登録メンバーから外れたが、疲労が抜ければ再びピッチで大暴れする。10月3日のサモア戦が、その舞台となる可能性は高い。

 実はサモア戦には縁がある。昨年5月30日の同戦(秩父宮)では通算82キャップ目を獲得し、当時最多で並んでいた小野沢宏時(キヤノン)を抜き、歴代単独最多に立った。19日の南アフリカ戦でW杯の日本代表最年長出場記録も更新。サモア戦に出場すれば、05年6月のアイルランド戦に出場したSH村田亙(現専大監督)の記録を5日更新する。残り5となった前人未到の通算100キャップも視界に捉えたが、大野本人は常々「試合には出たいが、記録をつくるために出るわけではない」と言う。

 南ア戦では自身を上回る38歳のロック、ビクター・マットフィールドと相対し、選手としてさらに刺激を受けた。スクラムでは2列目、アタックではバックローのサポート役というポジションの位置付けもあり、ボールタッチは1度か2度、あったかどうか。それでも懸命に体を張り続けたからこそ、勝利の実感はずしりと体にこみ上げた。「(逆転トライは)もう、凄かったですね。自分も涙が出てきました」と仲間と共に喜んだ。

 高校までは野球部に所属し、日大工学部(福島)からラグビーを始めた異色の経歴を持つ。W杯2度優勝の強豪を破り、すでに記録にも記憶にも残る今大会。大野の新記録で、さらに彩りを添える。

【大野 均 おおの・ひとし】
 ▼生まれ、サイズ 1978年(昭53)5月6日。1メートル92、106キロ。実家は福島県郡山市で酪農を営み、子供の頃から藁(わら)運びなど力仕事が日課。牛乳もよく飲んでいたため身長も伸びた。
 ▼競技歴 福島・清陵情報高では野球部に所属し、日大工学部でラグビーを始める。国体の福島県選抜に選ばれた際に関係者の目に留まり、01年に東芝入社。初キャップは04年5月16日の韓国戦(秩父宮)。セブンズ日本代表歴もある。
 ▼愛称 キンちゃん。均(ひとし)の漢字が由来で、先輩後輩を問わず呼ばれる。
 ▼お酒 大の酒豪。「さすがに試合前日は飲まない」が、リラックスするためにも必需品。お気に入りは「日高屋のハイボール」。
 ▼ファンサービス 気さくにサインや写真撮影に応じ、ファンを大切にする。19日の南アフリカ戦後も、ピッチに残ってファンサービス。女性との記念撮影では、肩に手を回す“サービス”も。

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