五郎丸、世界が興味津々!キック前の“サムライおがみポーズ”

[ 2015年9月21日 06:00 ]

<日本・南アフリカ>キックをする前に手を合わせるルーティンを行うFB五郎丸

ラグビーW杯イングランド大会 1次リーグB組 日本34―32南アフリカ

(9月19日 ブライトン)
 「黄金の右」で南アフリカを失意のどん底に沈めた。試合前の君が代では涙を流したFB五郎丸が2ゴール5PGに加え、トライも奪って計24得点。03年オーストラリア大会の米国戦で栗原徹が記録した21得点を上回る日本代表の1試合最多得点を更新し、歓喜の瞬間を迎えた。

 この勝利を「必然です。ラグビーに奇跡なんてないです」と言い切る。後半28分、左ラインアウトから順目にパスをつないだ内側に、逆サイドウイングの松島が猛然と突進。ゲインラインを突破すると、ラストパスを受けてW杯初出場初トライを決めた。鮮やかなサイン一発でのスコアに「外にパスを回すと内側が 空くと分析していたが、その通りだった」。決戦1週間前から選手一人一人が南アの防御の傾向を分析し、温めていたサインプレー。奇跡でなく必然。4年間の準備に加え、直前まで研究を重ねた結果が勝利に結び付いた。

 キックではコンバージョンとPG、計9回中7本を決めた。3点リードの前半10分、右利きの五郎丸には容易と思えた左中間の浅い角度のPGに失敗。接戦の中で致命傷になりかねなかったミスキックだが「動揺は全然なかった。そのあたりも成長した部分」と言い切る。その後は最後のコンバージョン以外、難しい角度も全て成功。1本でも外していれば、2点差勝利はあり得なかった。

 早大時代からキッカーとしても名をはせたが自信を得たのはエディージャパンとして活動し始めてからだ。当初は好不調の波が激しかったが、荒木香織メンタルコーチ(兵庫県立大准教授)と面談。「何となくやってきたルーティンを文字に起こし、評価することによって自分のものにした。感覚だけでやっていると、調子が落ちたときに自分を見つめ直せない」。03年W杯でイングランドを初優勝に導いた名キッカー、ウィルキンソンに影響を受けた、両手を体の前で合わせて体をかがめる独特のルーティン。モノマネされることも多いが、五郎丸にとってはなくてはならない成功の鍵だ。

 「スコットランドも警戒してくる。簡単には勝てない」。気を引き締めた副将の足が、再び日本に歓喜をもたらす。

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