逸 逆襲!栃煌山一蹴!平幕陥落の怪物が無敗の大関候補止めた

[ 2015年9月19日 05:30 ]

立ち合いで逸ノ城(右)は栃煌山の当たりをどっしりと受け止めて快勝

大相撲秋場所6日目

(9月18日 両国国技館)
 3場所ぶりに平幕に陥落した逸ノ城が無敗の関脇・栃煌山を寄り切って土をつけ、4勝目を挙げた。1年前の新入幕場所で13勝を挙げて大活躍したが、その後は9勝が最高。1歳年上の大関・照ノ富士に大きく水をあけられている22歳が逆襲に向けて奮闘中だ。無敗は照ノ富士だけとなり、栃煌山に加え、横綱・鶴竜、大関・稀勢の里、平幕の勢、蒼国来の5人が1敗で追う展開となった。

 ここ1年、突き抜けきれなかった“元祖モンゴルの怪物・逸ノ城”が久々に存在感を示した。絶好調の栃煌山の立ち合いの当たりを巨体でどっしりと受け止める。そして、しばらく我慢した後に得意の右差しに成功。たまらず相手が左を巻き替えてきたが、そこを勝機と見るや一気に前に出て大関候補を豪快に寄り切った。引き揚げた支度部屋。相手が無敗だったことを問われると「別に」とつぶやいた。それよりも「自分の相撲を取ろうと思ってどんどん前に出た」と無心を強調した。

 ざんばら髪の新入幕(東前頭10枚目)で13勝して旋風を起こしたのは1年前。末恐ろしい遊牧民出身の力士を見て周囲は「次の横綱候補」と大いにざわついた。だが、その後は暴飲暴食と稽古不足がたたって伸び悩み。2桁を一度も達成できず「関脇」→「前頭筆頭」→「小結」→「関脇」を変遷し、今場所は「前頭4枚目」まで番付を落とした。一方で、体重は1年間で10キロも増量。思うように体が動かなくなった。

 その間、モンゴルから同じ日に来日した盟友の照ノ富士は大関昇進。完全に自信喪失気味だったが、さすがに先場所の4勝11敗で火がついたのか8月の夏巡業では懸命に汗をかいた。まだ若い衆が稽古を行う時間帯の午前7時45分に関取衆では真っ先に土俵に出てきて黙々と四股を踏んだ。しかも、毎日だ。尾車巡業部長(元大関・琴風)はそんな逸ノ城の姿を見て「脱皮しようという気になったのかな」と努力を認めていた。

 今場所前の体重測定。前回より1キロ増えて208キロだったが、本人は「思ったより少なかった」と胸を張った。要は気持ち。「秋場所は去年良かったので結果を残したい」。後ろ向きな気持ちはもうない。

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2015年9月19日のニュース