日本 大金星へのカギは五郎丸のキック!初のW杯「特別な試合」

[ 2015年9月19日 05:30 ]

最後の調整を行う五郎丸(左)

 4年に1度のラグビーの祭典が18日(日本時間19日未明)に開幕。日本代表は19日(同20日午前0時45分開始)の1次リーグB組初戦で世界ランキング3位の南アフリカと対戦する。はるか格上の相手にもエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、55)があくまで勝利を目指すと宣言する中、カギとなるのがFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)のキックの出来。初のW杯出場ながら日本代表の通算得点記録を更新し続ける男が、超特大金星を演出する。

 この4年間、五郎丸は決戦前日は常にそうしてきたように、コンバージョンキックの最終調整を行った。ルーティンも一緒。真っ正面を手始めに、最後は左の15メートルラインと10メートルラインのぶつかるところから蹴って、計8回。代表通算653得点。世界でも有数のキッカーとなった副将は、抜かりなく準備を整えた。

 「今まで50何試合かしてきたが、特別な1試合になるのは間違いない。今まで通りの平常心で臨むのはたぶん無理なので、平常心ではないことを想定したい」。落ち着き払った口ぶりと裏腹に、張り詰めた心境も吐露する。この4年間の53試合中、出場49試合はプロップ畠山と並び最多キャップ、先発48試合は断トツ。そんな男でも、ようやくたどり着いた大舞台だ。

 学生時代から名をはせ、スター街道をまっしぐらに歩んだ。代表初キャップは10年前。にもかかわらず、ベテランの域に差し掛かった29歳で初のW杯だ。今年4月、都内で行われた講演会で、ジョーンズHCは言った。「この3年間で一番感心した選手はゴロウだ。サントリー監督時代は、相手のメンバーに入っていると、とても喜んでいた。なぜなら、怠け者だった。ウイングに指示は出すが、自分では動かない」

 これ以下のない酷評。それでも正確性、飛距離を兼備したキックが上回った。前回大会で最終メンバーに漏れた五郎丸を12年4月、指揮初戦から先発起用。副将にも指名し、意識を変革させた。代表不動のフルバックは、試合中は縦横無尽に動き回る選手に変貌。「日本ラグビーが生んだ一番いい選手になれる」と激賞するまでに至った。

 勝つなら接戦に持ち込むしかない。五郎丸も「W杯は全ての試合においてキックは非常に大事だし、日本の皆さんもそこに期待してくれている。あとは目標である(成功率)85%という数字をしっかりクリアしたい」と重みを理解している。ゴールデンブーツが放つ放物線を、歴史的勝利への懸け橋にしてみせる。

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