やり投げ新井、圧投決勝!世界選手権で日本人最長84メートル66

[ 2015年8月25日 05:30 ]

男子やり投げで決勝進出を果たした新井

世界陸上第3日 やり投げ予選

(8月24日 中国・北京国家体育場)
 男子やり投げの新井涼平(24=スズキ浜松AC)が84メートル66を投げ、A組1位、全体2位で予選を通過した。最後の3投目に今季自己ベストで、世界選手権での日本人最長記録をマーク。09年ベルリン大会で銅メダルを獲得した村上幸史以来、3大会ぶりの日本勢のメダル獲得を狙う。

 力だけでは遠くに飛ばせない。初出場の新井は周囲をよく見ていた。鳥の巣の愛称で知られる国家体育場は無風に近い条件。最後の3投目の時には対策が見えていた。「風がなく、やりが伸びていなかった。高く投げたらおしまい。初速が全て」。予選にしては珍しく、観客に手拍子を求めてテンションアップ。気持ちも乗せて投げた一投は84メートル66まで達した。今季自己最高記録。A組のトップで通過した。

 「(手拍子は)時間が空いてしまって、気持ちを上げるために皆さんの力を借りようと思いました」

 優勝した6月の日本選手権でも、同じように周囲からヒントをつかんでいた。故障で実戦勘が薄れ「どこを目標にしていいのか分からない」と、手探りだったが、最後の一投で最長不倒の84メートル13をマークした。優勝を争っていたスズキ浜松ACの同門の先輩、村上幸史の投げ方をヒントにして、目標を定めたのがビッグスローにつながった。豊富な練習量が生み出すパワーもさることながら、観察眼も24歳の武器なのだ。

 「3投目は抜けてしまっているのにあそこまで行った。日本記録も見えている。そこまで行けばメダルも見えてくる」

 手応えをつかんで鼻息は荒い。今季は故障で出遅れた。日本選手権で2連覇を達成すると「ひたすら練習していた」と言う。1日平均で10時間。指導する国士舘大の岡田雅次監督は「やめろと言ってもやめない」と苦笑いするほどの地道な努力が納得の投てきを生んだ。

 決勝はあす26日。やり投げの新エースが目指すのは、ずっと背中を追ってきた所属先の先輩、村上以来の表彰台。さらには1989年に溝口和洋が樹立した87メートル60の日本記録更新、もちろん、8位入賞でつかめるリオ切符だ。全てかなえるために「全力で投げるだけ」と力を込めた。 

 【男子】▽やり投げ予選「A組」(1)新井涼平(スズキ浜松AC)84メートル66=決勝進出

 ▽新井 涼平(あらい・りょうへい)1991年(平3)1月23日生まれの24歳。埼玉県出身。中学は野球。皆野高校でやり投げを始める。国士舘大を経てスズキ浜松アスリートクラブへ。日本選手権を連覇中。自己ベストは日本歴代2位の86メートル83。1メートル83、93キロ。

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