20キロ競歩鈴木 股関節痛に耐えられず…涙の途中棄権

[ 2015年8月24日 05:30 ]

棄権し涙を流す鈴木

世界陸上第2日・男子20キロ競歩

(8月22日 中国・北京 国民体育場)
 男子20キロ競歩でメダルを期待された世界記録保持者の鈴木雄介(27=富士通)は11キロ付近で途中棄権した。抱えていた恥骨炎の痛みをこらえ切れなかった。日本勢は総崩れで3大会連続の8位入賞はならなかった。

 我慢の限界だった。先頭集団の鈴木が11キロ付近で自らの腕でバツ印をつくり、道路の脇にそれるようにして足を止めた。5月から抱える股関節の痛みは世界選手権のアドレナリンも特効薬にならなかった。世界記録保持者の肩書、金メダルの期待を背負って挑んだ北京は棄権で幕を閉じた。

 「10キロ手前に痛くなった。後半になれば他の選手のペースが上がる。自分のペース、痛み、調子を考えるとメダルは厳しいと思った。今後もある。我慢して完歩するよりも、これ以上は行けないと思った」。苦渋の決断に涙がこぼれた。

 オープンな性格が故障の一因になったかもしれない。3月に1時間16分36秒の世界新を出してからはメディアに引っ張りだこだった。スポーツ番組だけでなく、バラエティー番組などにも出演したのは、マイナーの競歩をメジャーにしたいから。だが、徐々に歯車が狂った。「練習を積むべき時に積めなかった。疲れを残したまま練習をして故障した」。恥骨炎を発症してからは治療に時間を割いて練習量が減った。世界新フィーバーが負の連鎖を招いた。

 「ケガをしっかり治して、リオを目指したい」。年内は休養予定。五輪でこそ、世界一美しいフォームで頂点に立つ。

 ▼日本陸連・今村文男競歩部長 (鈴木は)最低でも入賞と思っていた。想定外。日本選手は速さがあるが強さはない。リオデジャネイロはかなり時差があり、南半球でも暑さはある。経験、現地の気温、時差の対策などを選手が準備していかなければならない。

 【男子20キロ競歩】
(1)ロペス(スペイン) 1時間19分14秒
(2)王鎮(中国) 1時間19分29秒
(3)ソーン(カナダ) 1時間19分57秒
(13)藤沢  勇(ALSOK) 1時間21分51秒
(47)高橋 英輝(富士通) 1時間28分30秒
―鈴木 雄介(富士通) 途中棄権
[世]鈴木 雄介(富士通) 1時間16分36秒
[日]鈴木 雄介 1時間16分36秒

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