メダリストら反旗「国際陸上連盟に裏切られた」大量ドーピング疑惑

[ 2015年8月11日 17:24 ]

国際陸上連盟に異議を唱えたドイツの円盤投げ選手、ロバート・ハルティング(AP)

 陸上の男子円盤投げで世界選手権を連覇し、12年ロンドン五輪でも優勝しているドイツのロバート・ハルティング(30)を中心とする有力選手が10日、国際陸上連盟(IAAF)に対して反旗を翻した。

 01年から12年までの間に約800人の選手に持久力向上の効果がある血液ドーピングの疑いがありながら、それを公表してこなかったことへの抗議で、ハルティングは「我々は裏切られた。もうあなた方(IAAF)を信用できない」と語る動画メッセージをユーチューブに投稿した。

 動画の中ではハルティングらに加えて複数の“同志”が出演。男子砲丸投げのエリック・ワースキー(28=米国)は「我々の競技にダメージを与えた」と語り、男子800メートルのロビン・シェンベラ(26=ドイツ)は「自分はクリーンな選手とレースがしたい。(薬にまみれた)モンスターはご免だ」と静かな口調ながらきびしい意見を突きつけた。女子円盤投げのジュリア・フィッシャー(28=ドイツ)も「選手よりお金が大事なんですね」と皮肉をこめて批判。ツイッターにも「#hitIAAF」というハッシュタグが設けられ、IAAFに対してきびしい意見を突きつけた。

 一方、“ハルティングの乱”を受けてIAAFも即座に対応。血液ドーピングの疑いがあるとして内部告発した科学者の判断を「完全に間違っている」と否定した上で、ハルティングらに検査の実態と現状をIAAFの本部(モナコ)で視察するように促した。

 今回の問題に関して、世界反ドーピング機関(WADA)のリーディー会長は「あまりにも多くの選手が疑惑に関与している」とコメント。世界選手権(北京=22日開幕)での透明性を危ぐする声もあり、陸上界の一大スキャンダルは世界各国に影響を与え始めた。

 ◆血液ドーピング 高地トレーニングなどをしている際に自分の血液を採取して冷凍保存し、競技直前に体に戻す方法。持久力に不可欠な酸素摂取能力を一時的に向上させる効果がある。

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2015年8月11日のニュース