西山、最高の“恩返し”V!プロ8年目、師弟タッグで悲願

[ 2015年8月10日 05:30 ]

優勝を決め、芹沢(右)と笑顔でバンザイする西山

女子ゴルフツアーmeijiカップ最終日

(8月9日 北海道北広島市 札幌国際カントリークラブ島松コース=6500ヤード、パー72)
 師匠に最高の恩返しだ。首位タイから出た西山ゆかり(33=フリー)は4バーディー、1ボギーの69でラウンド。通算8アンダーで並んだ鈴木愛(21=Salesforce)とのプレーオフを2ホール目のバーディーで制し、プロ8年目にして悲願の初優勝を飾った。キャディーを務めた師匠の芹沢信雄(55)との師弟タッグで歓喜の瞬間を迎えた。
【最終成績】

 心からの叫びだった。「絶対に勝ちたいです!」。最終18番パー5を使ったプレーオフ2ホール目。第2打をフェアウエー右サイドに運んだ西山は歩きながら芹沢に思いを吐き出した。最終日最終組は3度目で過去2度は崩れてV逸。それを知る師は4打目、勝負のバーディーパットの前に「その気持ちが大事。だから集中するしかない」と背中を押した。カップ左手前6メートルの距離。神経を研ぎ澄まし、スライスラインを読み切ってねじ込んだ。鈴木がバーディーパットを外して優勝が決まると、大会女王と優勝キャディーは手を取り合ってバンザイした。

 朝は緊張で「食事が喉を通らなかった」という西山だったが、得意のショットはさえ、芹沢が同組で回った世界ランク8位のフォン・シャンシャンと比べて「同等かそれ以上」と評するほど。3番で4メートルを沈めてバーディーが先行すると、4番は1メートル、6番で1・5メートル、9番で2・5メートルと次々にショットをピンに絡めてスコアを伸ばした。

 チーム・セリザワのオフの恒例行事であるハワイ合宿ではウオーミングアップを兼ねて毎朝6キロのランニングを行う。西山は藤田寛之、宮本勝昌、上井邦浩ら男子プロと同等の速さで元気に完走するという。中学では陸上部に所属して中距離走を専門にしていたこともあり、高い持久力が優勝争いの終盤でもぶれないショットを支えていた。

 同じコースで開催された92年の男子ツアー、札幌とうきゅうで芹沢はプレーオフに敗れて2位だった。西山は「全然知らなかったです」と驚き、師匠の借りを返したことに「うれしい」と笑みを浮かべた。「今回の優勝は芹沢プロのおかげ。教えていただいたことを自分のものにしてもっと大きく成長したい」。当面の目標は「2勝目、3勝目」という。33歳はスタートラインに立ったばかりだ。

 ◆西山 ゆかり(にしやま・ゆかり)1982年(昭57)6月20日、神奈川県藤沢市出身の33歳。中学は陸上競技、高校ではハンドボールに打ち込んだが、高校卒業と同時にゴルフを始める。朝霧CCで練習生となり08年に3度目の挑戦でプロテスト合格。13年から芹沢信雄に指導を仰ぎ、ステップアップツアーで2勝。昨年は賞金ランキング43位で初のシード権を手にした。1メートル62、58キロ。家族は両親と姉。

続きを表示

この記事のフォト

2015年8月10日のニュース