五輪エンブレム「デザイン酷似問題」両者の意見が真っ向対立

[ 2015年8月1日 05:30 ]

2020年東京五輪エンブレムのデザインを手がけた佐野研二郎氏

 2020年東京五輪の公式エンブレムがベルギーの劇場のロゴなどと似ていると指摘されている問題で、エンブレムをデザインしたアートディレクターの佐野研二郎氏は31日、大会組織委員会を通じて「報道されている海外作品については全く知らないものです。制作時に参考にしたことはありません」とのコメントを発表した。

 佐野氏はさらに「この東京2020エンブレムは、1964年の作品へのリスペクトを持ちながら、日本らしさを自分のなかで追求してデザインしました」と制作意図を説明した。

 また「海外出張中のため、コメントを出すことが遅れてしまい申し訳ありませんでした」とし、後日、説明の場を設けるという。

 五輪の組織委も「IOC(国際オリンピック委員会)の規定上必要とされる手続きを踏まえ、発表前に国内外における商標調査を経た上で決定したものであり、問題ないと考えている。IOCも同じ見解と承知している」とのコメントを発表した。遠藤利明五輪相も会見で「問題ない」と、同様の考えを示した。

 一方、ベルギーのリエージュ劇場のロゴのデザイナー、オリビエ・ドビ氏は「私としてはエンブレムの取り下げや変更を想定している」と述べ、エンブレムの使用停止を求める書簡をIOCと組織委に送ったことを明らかにした。8日以内の回答を求め、対応がなければ、8月中にも使用停止を求めてベルギーの裁判所に提訴する構えだ。

 ドビ氏は組織委が国際商標を確認したと説明していることについて、劇場のロゴは商標登録されていないとした上で「2013年に先に公表された。インターネット上で見つけるのは難しくない」と述べ、自作の著作権が優先するとの考えを示した。

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