還暦ゴルファー室田淳 長くプレーできる秘訣は「ずっと低空飛行」

[ 2015年7月30日 10:50 ]

室田淳

 先週の男子ゴルフツアー、ダンロップ・スリクソン福島オープンは酷暑の中での戦いだった。気温は連日30度を超えた。英国帰りの松山英樹は第3日に熱中症の症状を訴えたほど。そんな中で目立ったのが、おじさんゴルファーの奮闘だった。

 優勝したプラヤド・マークセンは49歳。タイ出身とあって「タイと似ている暑さだから大したことない」と涼しい顔で4日連続60台で回った。5位の藤田寛之は46歳。前週は全英オープンに出場しており時差ボケも残る中で意地を見せた。

 そして一際大きな喝采を浴びたのが、大会中に還暦を迎えた室田淳だ。初日に66をマークし首位で飛び出すと3日連続60台を並べた。首位と4打差の9位。優勝圏内で迎えた最終日が60歳の誕生日だった。

 「60歳の誕生日だから気を使っちゃったよ」と還暦のお祝いに着る“赤いちゃんちゃんこ”に見立てた赤いシャツで1番ティーに立った。ティーオフ前には「今日が還暦、60歳の誕生日の室田淳」とアナウンスされ、照れ笑いを浮かべてから第1打を放った。

 最終日は追い上げられなかった。それでもアンダーパーの70で回り17位に入った。18番グリーンから引き揚げる際にはギャラリーから握手攻めにあい「あんなことめったにないから、うれしかったね」と目を細めた。

 今季はレギュラーツアー7試合に出場して予選落ちは1回だけ。飛距離は若手に劣るが、フェアウエーキープ率は64・84%でツアー18位、平均パット数1・7550は28位。正確性や小技でカバーしている。

 衰えない秘けつを尋ねると「トップじゃないから長くできるんだ。ずっと低空飛行で自分のレベルが分かっているから頑張れる。トップの人は体(力)が落ちると難しくなる。でも俺は今でももっとうまくなると思っている」と向上心を挙げた。海外の試合に挑戦し続けるのも、強くなりたい、うまくなりたいという貪欲さがあるからだろう。

 テレビの解説を務めた72歳の青木功は「大したもんだ。お前が頑張ってるのを見ると、俺も頑張らないといけないなと思うよ」と声を掛けた。同じ思いを抱いた中高年はたくさんいるはず。記者もその1人だ。(福永 稔彦)

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2015年7月30日のニュース