白鵬 35度目の賜杯、引退濃厚の“兄貴”旭天鵬に恩返し

[ 2015年7月27日 05:30 ]

「兄貴」お疲れ様!!35度目となる優勝を飾った白鵬は支度部屋で懸賞入り花束を持った旭天鵬と記念写真に納まる

大相撲名古屋場所千秋楽

(7月26日 愛知県体育館)
 白鵬(30=宮城野部屋)が1差の2敗で追っていた鶴竜(29=井筒部屋)との横綱対決を寄り切りで制し、14勝1敗で2場所ぶりに賜杯を獲得した。最多優勝記録は35度に更新した。今場所限りで引退する意向の幕内・旭天鵬(40=友綱部屋)に届けるV。尊敬するモンゴルの大先輩を優勝パレードのオープンカーに乗せるなど最高の“恩返し”を果たした千秋楽だった。秋場所は9月13日に両国国技館で初日を迎える。
【千秋楽取組結果】

 気温30度を超える熱気の中で行われた優勝パレード。表彰式を終えて体育館の正面玄関に登場した白鵬は旗手を務める旭天鵬とオープンカーに乗り込んだ。今場所限りでの引退の意向を持つ同郷の大先輩の手を握って高々と掲げ、万歳三唱。表情は満点の笑顔だった。

 「我々の大先輩が今場所限りで引退ということで、その花道を優勝パレードで一緒に乗せることができる」。旭天鵬自身は明言を避けていた段階だったが、館内の優勝インタビューで先んじて報告。10歳年上の「兄貴」をオープンカーに乗せたいと誓い、成し遂げたV35だった。

 本割で締めくくった。1差で追う鶴竜に対し「負けてももう1番あるという気持ちで臨んだ」と自然体。左張り差しから右四つとなり、一度は巻き替えられた。左四つがっぷりで引きつけ合いとなったが、最後は力強く寄り切って51秒の熱戦を制した。支度部屋に戻ってくると旭天鵬と握手してハグ。「お疲れさまです」と言うと「おめでとう」と返ってきた。懸賞3本入りで「兄貴 お疲れ様でした」のメッセージを添えた花束をプレゼントし、尊敬する先輩の花道を最高の形で飾った。

 今場所は最近心掛けるスロースターターぶりを特に発揮した。初日は1分13秒、2日目は1分43秒…。そんな長い相撲にNHK解説では舞の海秀平さん(元小結)は「力が落ちた」と断言。だが、横綱にとっての序盤は「60~70%でいけばいい」もの。「初日から100でいくといいものが出ない。終盤にピークを持っていく」と上位戦で底力を見せた。照ノ富士には1分10秒をかけたが、琴奨菊は2秒、豪栄道は2秒、稀勢の里は3秒で瞬殺。そして千秋楽に全てを出し切り「誰かと言いませんが“力が落ちた”と言った人がいましたが、寂しいことは言わずに温かく応援して」とチクリ。満員の館内とお茶の間を大いに笑わせた。

 27日には母国に帰国。29日にはモンゴルの国民栄誉賞に当たる「労働英雄賞」のパーティーを開く。「新大関はじめたくさんの若手が出てきた。一つの壁になれたんじゃないかな」。先輩へのねぎらいと若手の突き上げを刺激にした15日間。白鵬時代はまだ終わる気配はない。

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