サニブラウン 自己ベスト&大会新10秒28で日本人初V

[ 2015年7月17日 05:30 ]

世界ユースの男子100Mで大会新をマークして優勝したサニブラウン(中)

陸上世界ユース選手権第1日

(7月15日 コロンビア・カリ)
 怪物が年代別最速のタイトルを手に入れた。男子100メートルでサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高)が向かい風0・4メートルの中、自己ベスト&大会新記録の10秒28をマークして金メダル。短距離種目の優勝は男女通じて日本勢で初めてとなった。17日からの200メートルで、世界選手権(8月、中国・北京)の参加標準記録20秒50の突破を狙う。宮本大輔(16=京都・洛南高)は10秒78で7位だった。

 海外初レースのサニブラウンが、底知れぬ潜在能力を見せつけた。向かい風0・1メートルの予選でいきなり自己タイで大会新記録の10秒30をマークすると、向かい風1・2メートルとコンディションが悪化した準決勝も10秒30。この日、3本目の決勝でも圧巻のパフォーマンスだ。大会記録をさらに0秒02更新する10秒28で、2位・シルバ(ブラジル)に0秒21差をつける完勝。大会前に「ワクワクが止まらない」と話していた16歳が、日の丸を掲げて充実感に浸った。

 ガーナ人の父と、短距離で高校総体に出場経験のある日本人の母を持つ。6月の日本選手権でシニアの強豪を相手に100、200メートルでともに2位に入った。一気に注目度が高まったが、「別に何も変わっていない」と自然体だ。今大会が初代表。「思ったより代表のユニホームが似合わなくてビックリした。白と赤の組み合わせは普段、着ないので違和感がある」。戦前の苦笑いは、最高の笑みに変わった。

 今大会か今月下旬の高校総体で世界選手権の参加標準記録を切れば、代表追加が決定的。100メートルは参加標準10秒16に届かなかったが、200メートルの20秒50(自己ベスト20秒56)は突破のチャンスがある。短距離個人種目の代表になれば、高校3年で13年大会に出場した桐生祥秀を超えて史上最年少となる。「100、200メートルの2冠を狙って、200メートルは(世界選手権の)タイムを切りたい」。100&200メートルの2冠は05年のアリーティー(英国)だけ。世界最速のボルト(ジャマイカ)も達成していない偉業とともに、怪物が世界切符もつかむ。

 ◆サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日、福岡県生まれの16歳。小学3年から陸上を始める。城西高1年の昨年、ともに高1歴代最高となる100メートル10秒45、200メートルで21秒09をマーク。日本陸連の20年東京五輪を見据えた若手強化選手「ダイヤモンドアスリート」に選出された。1メートル87、70キロ。

 ▽世界ユース選手権 国際陸連(IAAF)が主催し、出場資格は開催年の12月31日時点で18歳未満の選手。99年にポーランドで第1回大会が開催され、今大会で9回目を迎えた。他にIAAF主催の年代別大会には、開催年の12月31日で20歳未満の選手が出場できる世界ジュニア選手権がある。

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