新国立アーチ死守 財源メド立っていないのに整備費828億円増

[ 2015年6月25日 06:38 ]

新国立競技場のイメージ(日本スポーツ振興センター提供)

 政府は24日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の整備費について当初予定を800億円以上も上回る2520億円とする方針を固めた。屋根を支える2本の巨大なアーチ構造を特徴とするデザインは維持。資材や人件費の高騰、消費税増税の影響などで、整備費は大幅に膨張した。近く建設業者と工事契約を結び、10月に着工する予定で、19年のラグビーW杯日本大会までの完成を目指す。

 巨大アーチのデザインは、12年にJSC(日本スポーツ振興センター)が実施した国際公募で選ばれた。だが、技術的に難しくコスト増や工事の遅れにつながるなどと建築家らが反発、デザインの見直し案も提案していた。市民からも景観を阻害するなどの声が上がっていたが、政府は工事の遅れにつながる大幅な設計変更は困難と判断した。

 今後は財源確保策が焦点となる。財務省では「これ以上の国費負担は国民の理解を得られない」としており、メドは立っていない。文科省は都に500億円の負担を求めているが、都は態度を留保している。政府内ではスポーツ振興くじ(サッカーくじ)の収益に期待する向きもある。

 経済評論家の荻原博子さんは、財源の拠出先について「税金を上げられたり、国民の負担になるのは許されない。官房機密費を出してもらうしかない」と指摘。「都も500億円以上は難しい。他の部分をコンパクトにし、費用を抑える努力が必要でしょう」とした。

 当初、建設費1625億円、旧国立競技場の解体費67億円を含め1692億円と見込んでいた整備費が膨らむのを抑えるため、文部科学省は工期短縮で開閉式屋根の設置を2020年東京五輪後に先延ばしし、コスト削減策として8万の観客席のうち可動式の約1万5000を仮設にするなど計画の見直しを続けていた。

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