沙保里 必死の連覇 終了間際大ピンチ「久しぶりに危機感。焦った」

[ 2015年6月22日 05:30 ]

女子53キロ級決勝で、入江(右)を攻める吉田

レスリング全日本選抜選手権最終日

(6月21日 代々木第2体育)
 女子53キロ級の吉田沙保里(32=ALSOK)がリオデジャネイロ五輪出場に王手をかけた。入江ななみ(20=九州共立大)との決勝戦は5―3と接戦を制し連覇を達成。世界大会V15に挑む9月の世界選手権(米・ラスベガス)の代表切符を勝ち取った。同大会でメダルを獲得すれば五輪代表はほぼ確定。日本協会の栄和人強化本部長には「ミルクティー禁止令」を出された霊長類最強女子が、前人未到のV16へと準備を進める。

 相手の右足に必死にしがみついて終了の合図を聞いた。2点差に迫られた終盤にタックルにいったが、取り切れずにつぶされた。足を振りほどかれてバックを取られたら、同点となって最後にポイントを取られた吉田の負け。「久しぶりに危機感を抱いた。焦った」という女王は「ガッツポーズしたら恥ずかしい」と辛勝に喜び方も控えめだった。

 初戦こそテクニカルフォールで圧勝したものの、準決勝も攻めるより相手のタックルをがぶってのポイントが目立った。研究されているだけでなく、吉田自身も地に足がついた感触がなかったという。「調整はしてきたけど、上からつられているみたいにふわふわしていた」と首をひねった。

 栄強化本部長が苦戦の原因としたのは、長年の課題である食の細さだ。決勝後には「顔は白いし、唇は青い。メシを食わないからだ」とカミナリを落とした。最も問題視したのは吉田が大好きなペットボトルのミルクティー。「喉が渇くとすぐにミルクティー。寝る時もミルクティーを抱えている。赤ちゃんの哺乳瓶と一緒」とおかんむり。「水分で腹いっぱいになるからメシが食えない。五輪4連覇のためには」とミルクティー禁止を通告した。

 吉田も「恥ずかしい話だけど、そういうところを直さないと影響すると分かった」とこれまで無頓着だった食生活の改善に意欲を示した。メダル獲得でリオ五輪出場がほぼ決まる世界選手権だが、もちろん目指すのは優勝。「霊長類最強と言われるけど私も人間だから」とかばんに忍ばせていたミルクティーを取り出し、そっと別れを告げた。

 ▼レスリングのリオ五輪代表選考 男女とも9月の世界選手権でメダルを獲得した選手は、12月の全日本選手権に出場すれば内定。メダルを逃した場合でも、世界選手権で上位6人に入って出場枠を獲得した選手は、全日本選手権優勝で内定する。

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2015年6月22日のニュース