錦織、全仏8強!歴史の扉こじ開け、悲願へあと3!

[ 2015年6月1日 05:30 ]

自身初の全仏8強を決めた錦織のバックハンド(AP)

テニス全仏オープン第8日 男子シングルス4回戦 錦織圭 6―3 6―4 6―2 ガバシビリ

(5月31日 パリ・ローランギャロス)
 男子シングルス4回戦で、世界ランキング5位で第5シードの錦織圭(25=日清食品)は世界74位のテイムラズ・ガバシビリ(30=ロシア)を6―3、6―4、6―2のストレートで下した。3回戦が不戦勝となり、変則的な中3日での試合。さらに雨によって大会の進行が約2時間半遅れたものの、全仏の日本男子では1933年の佐藤次郎以来82年ぶりのベスト8進出を決めた。

 黒柳徹子やジェームス・ブラウンさんがこの世に生を受け、後の大横綱・双葉山はまだ平幕をさまよっていた。昭和8年の1933年はそんな時代だった。それ以来閉ざされていた歴史の扉を錦織がこじ開けた。「しっかり勝てたことがうれしいですね。まずベスト8に入ることが目標でしたし、新しくどんどん歴史をつくれることは自分のモチベーションになる」。日本のエースは歴史的8強を素直に喜んだ。

 3回戦が相手のケガで不戦勝となり、通常は中1日で試合をこなすところが、2回戦から中3日で迎えた試合だった。4大大会での不戦勝は初めての経験。「ちょっと気持ちが抜けるのが怖い。集中力を途切れさせないようにしたい」と話していたが、この日は雨による進行の遅れもあった。

 準センターコートでの第2試合。第1試合で降雨による約2時間半の中断があり、錦織の試合中も断続的に雨が降った。水分を含んだボールは重くなり、非力な錦織には扱いづらくなる。第1セットの第7ゲームではライン上で足を滑らせる場面もあり、コート内を吹き抜ける風はミスを誘う原因となった。

 それでも世界74位の相手に隙は見せなかった。「この強い風と雨も降っていたので。いつもと少し違った環境だったので自分のプレーを変えながらやれたと思います」。2回戦とは違って序盤から相手の第2サーブに積極的に踏み込み、自らのサービスゲームでもしっかりと組み立ててポイントを奪った。第1セットは第2ゲームで早々とブレークに成功。第2セットも序盤のブレークで流れをつかんだ。第3セットも第1ゲームのブレークで主導権を握り、1、2回戦に続いてストレートで料理した。

 4大大会では、2年前の全仏2回戦でも雨による2度の中断を挟んだ6時間マッチを経験した。昨年のウィンブルドンでは雨による開始の遅れ、日没順延、休養日を挟んでの試合再開と1試合勝つのに3日を要したこともある。積み重ねてきた経験は血になり、肉となっている。世界5位には当然ともいえる8強進出。「ここからよりタフな戦いになるので、また頑張ります」。錦織の全仏が本番を迎える。

 ▽1933年全仏の佐藤次郎 31年に初出場でベスト4入りし、第4シードで臨んだ翌年は4回戦で敗退。ウィンブルドンのベスト4など実績を重ねた後、第6シードとして出場した。1、2回戦は地元フランスの選手を下し、3回戦も突破。4回戦ではコリン・ロビンス(南アフリカ)をフルセットで下して8強入りを決めた。準々決勝ではフレッド・ペリー(英国)を破り、準決勝でこの年世界1位となるジャック・クロフォード(オーストラリア)にストレート負けした。当時は識者が世界ランキングをつけており、ウィンブルドンでもベスト4入りした佐藤は同年、過去最高の3位にランクインした。

続きを表示

この記事のフォト

2015年6月1日のニュース