日本男子400リレーでリオ切符!大健闘の銅 桐生「夢中で走った」

[ 2015年5月4日 05:30 ]

銅メダルを獲得、ポーズを決める(左から)大瀬戸、藤光、桐生、谷口

陸上世界リレー大会第1日

(5月2日 バハマ・ナッソー)
 男子400メートルリレーで大瀬戸一馬(20=法大)、藤光謙司(29=ゼンリン)、桐生祥秀(19=東洋大)、谷口耕太郎(20=中大)の日本が3位に入り、8位までに与えられる16年リオデジャネイロ五輪の出場権を獲得した。故障者が出るなどベストメンバーが組めない中で健闘し、今夏の世界選手権やリオでの表彰台が見えてきた。米国が37秒38の大会新記録で優勝し、ウサイン・ボルト(28)がアンカーを務めたジャマイカは37秒68で2位だった。1600メートルリレー予選で日本の男子は3分6秒38の2組6着に終わり、全体17番目で敗退。女子は3分32秒79の2組4着で、3日の9~16位決定レースに回った。

 盛り上がる会場の雰囲気が、桐生の集中をMAXに高めた。「自然とスイッチが入り、夢中で走った。ガンガン行けた」。2走の藤光からバトンを受けると、爆発的な加速で谷口へつなぐ。100&200メートルの世界記録保持者・ボルトはジャマイカのアンカーで直接対決は実現しなかったが、桐生は初の銅メダルに「久しぶりに興奮した。最高の結果」と笑みを浮かべた。

 4人の力を結集するリレーは好きな種目だ。中学時代の全国大会。左太もも裏を肉離れし、100メートルを棄権したが、不自然な動きでリレーを走り抜いたことがある。日本代表のリレーメンバーに入った13年の世界選手権以降、1~4走まで全ての走順をこなしてきた。ロンドン五輪100メートル代表の山県、200メートルで国内屈指の実力を持つ高瀬が不在の今大会。どの走順でも起用できる桐生の存在が、日本を助けた。

 次走者の手のひらに下からバトンを押し込む「アンダーハンドパス」を磨き、日本は08年北京五輪で銅メダルを獲得。昨年の仁川アジア大会で中国にアジア記録を塗り替えられ、今季からバトンパスを改良している。互いの距離が近づいてから渡す「アンダーハンド」と、両者が腕を伸ばすことで距離を稼げる「オーバーハンド」の中間的な新方式。日本陸連の苅部男子短距離部長も、「攻めのバトンパスという新たな取り組みで成果が出た」と手応えを強調した。

 予選の38秒73より、決勝で38秒20とタイムも上がった。山県ら走力があるスプリンターが加われば、今夏の世界選手権やリオデジャネイロ五輪でのメダルも現実味を帯びてくる。「本気の米国、ジャマイカはボルトが出ている中で、このメダルは大きい。リオでも表彰台を目指しもっと頑張りたい」と桐生。カリブ海に浮かぶ小さな島で、日本が大きな可能性を示した。

 ▽世界リレー大会 国際陸連が主催するリレー種目の国際大会で、14年にバハマ・ナッソーで第1回大会が開催された。男女400メートル、1600メートルリレーの他、800メートルリレーなど非五輪種目も行われる。今大会で8位以内に入れば、16年リオデジャネイロ五輪の出場権を得る。14年は5月24、25日に行われたが、今年は5月2、3日。日本陸連は例年4月29日の織田記念国際の日程を4月19日に移した。

 ≪結束力見せた≫大会直前のアクシデントもはね返した。現地入り後、北京五輪銅メダルメンバーで4月の織田記念国際男子100メートルで2位と好走した塚原が離脱。補欠から1走に昇格した20歳の大瀬戸は、「流れをつくれた。プレッシャーもあったが、思い切り走った」と充実感を漂わせた。2走の29歳の藤光は「チームが結束できた」と話し、アンカーを務めた谷口は「ゴールした瞬間は信じられなかった」と振り返った。

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2015年5月4日のニュース