美誠 5戦全敗天敵撃破、愛超え日本人最年少8強あと1

[ 2015年5月1日 05:30 ]

卓球世界選手権女子シングルス3回戦を突破した伊藤美誠

卓球世界選手権個人戦第5日

(4月30日 中国・蘇州国際博覧センター)
 中学3年生の伊藤美誠(みま、14=スターツ)が女子シングルスではただ一人の4回戦進出を決めた。過去5戦全敗だった陳思羽(21=台湾)に4―1で快勝。1日に8強入りすれば、03年に福原愛が記録した日本人の最年少記録を更新する。混合ダブルスは吉村真晴(まはる、21=愛知工大)石川佳純(22=全農)組が準決勝で北朝鮮ペアを4―2で下して初優勝に王手をかけた。男子ダブルスは丹羽孝希(20=明大)松平健太(24=JTB)組が4強入り。この種目で日本勢の2大会連続メダルを確定させた。

 14歳が大人びたプレーを見せた。過去5戦全敗の陳思羽に対し、伊藤はじっくり攻めることを決めた。「今まで早く決めたいって攻めすぎていました」。前のめりになって自滅するのが敗戦パターン。反省を生かし、相手のミスを誘いながら試合をコントロールした。

 第3ゲームを終えて2―1とリード。主導権を握った状態で第4ゲームは攻撃に変化を加えた。左右に振って空いたサイドにスマッシュを打ち込み、11―2で圧倒。第5ゲームも制し、約30分で台湾の天敵に快勝した。

 集中していた。試合数が減ったこの日は試合が前日までの8テーブルから会場中央の4テーブルに集約され、スタンドの端に位置する席で一部観客が試合が見づらいとして大声で抗議。会場が騒然とした雰囲気に包まれた。伊藤も第1ゲーム途中まで騒動に敏感になり「何で試合が始まっても騒いでいるんだろう」と疑問を感じたが、集中力を切らせることなく、柔軟な戦術で戦い抜いた。

 「無理をせずにプレーできて良かったです」

 柔軟なのは戦術だけでない。実際、体がとても柔らかい。前後開脚でぺたりと股が割れる。試合後には「こんなのができますよ」と立った状態から背中を反らせてブリッジ。可動域の広さと、プレー中のしなやかな身のこなしは無縁ではない。

 私生活では一転、手堅い。「欲しいものってあまりないですよ。そんなに買い物もしません」。母・美乃りさん(39)の「何歳までにいくらためたいか計画しなさい」との教育方針で獲得した賞金は自分で管理している。貯蓄用と普段使う2種類の銀行口座を使い分けて生活。自分で稼いだお金だからこそ、無駄遣いはできない。中学生プロは大人が見習いたくなるほどのしっかりものだ。

 1日は4回戦と準々決勝。14歳192日で8強に入れば、03年の福原が記録した14歳203日を超える日本人最年少記録になる。4回戦は、偶然にも今大会で福原を破ったビレンコ。これはもう、倒すしかない。

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2015年5月1日のニュース