香生子ヤッター!日本新で3冠 今季世界最速「ガッツリいった」

[ 2015年4月11日 05:30 ]

日本新記録で優勝しガッツポーズを見せる渡部

 競泳日本選手権第4日は10日、今夏の世界選手権(ロシア・カザニ)の代表選考を兼ねて東京辰巳国際水泳場で行われ、女子200メートル個人メドレーは渡部香生子(18=JSS立石)が自身の日本記録を更新し、2分9秒81で3冠を達成。今季世界ランク1位のタイムで代表入りし、12日決勝の200メートル平泳ぎに弾みをつけた。

 日本記録更新のアナウンスが場内に流れると、渡部は右手で水面を叩きつけ喜びを爆発させた。「ヤッター!」と叫びながら右拳を何度も突き上げる。昨年の仁川(インチョン)アジア大会で銀メダルを獲得した自身の記録を今年の世界最速タイムで更新。50メートルと100メートルの平泳ぎ2種目に続いて3冠を達成し「ずっと(2分)10秒を割ることを目標にしていた。それを達成することができてうれしい」と大きな笑顔を見せた。

 世界を見据えた積極的なレース運びが快記録につながった。最初のバタフライで日本記録ペースを0秒70上回るハイペース。続く背泳ぎでもテンポを上げ、1秒37まで貯金を広げた。そして得意の平泳ぎに移ると、ライバルを一気に引き離し、最後の自由形も力強かった。以前はスタミナ切れを気にして、前半は慎重に入っていたが、竹村吉昭コーチと「前半からいかないと世界と勝負できない」と決め、「ガッツリ」勝負に出た。その志が世界への挑戦権をもたらした。

 より一層、メダルへの思いが強くなった。オーストラリアで行われた2月のニューサウスウェールズ州選手権。3日目の最終日に17レース目を泳ぎ切ると、プールから上がって歩くことができなかった。その時、心配した地元のロンドン五輪メダリスト、エメリー・シーボームがペットボトルの水を手渡してくれた。「私のことを知らないはずなのに、助けてくれて本当にすてきだった」。尊敬できる人と同じ土俵で戦いたい。そのためにも手にしなければならない世界の切符だった。

 今春から早大生になり、心強い味方も増えた。「日本選手権の結果を見て応援してくれて、それだけで本当にうれしい。(早大で)少しだけ友達もできたので、ご飯とかも行きたい」。学生らしく大会終了後の楽しみも膨らむが、最終日12日には最もこだわりの強い200メートル平泳ぎ決勝がある。「3冠は自信になる。しっかりと気持ちを切り替えて4冠を獲りたい」。この先に見る世界の大舞台へ、最高の形でつないでみせる。

 ≪唯一の2分9秒台≫渡部が決勝で記録した2分9秒81は今季の世界ランク1位で、唯一の2分9秒台。12年ロンドン五輪では5位に相当。13年のバルセロナ世界選手権では4位相当の記録となる。ちなみにその2大会での優勝タイムは、いずれも2分7秒台。世界選手権でメダル争いをするには、少なくとも2分8秒台の記録が必要となりそうだ。

 ▼競泳世界選手権代表選考 個人種目は日本選手権の決勝で日本水連が定めた派遣標準記録を突破し2位以内に入れば代表となる。世界選手権金メダルはその種目に限り16年リオデジャネイロ五輪の日本代表に内定する。

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