海老沼 雪辱の男泣きV 男子66キロ級の第一人者は俺だ!

[ 2015年4月6日 05:30 ]

男子66キロ級決勝で高市(右)を破り優勝した海老沼

柔道全日本選抜体重別選手権最終日

(4月5日 福岡国際センター)
 男子66キロ級で世界選手権3連覇中の海老沼匡(25=パーク24)が愛妻が見守る前で雪辱の優勝を飾った。決勝ではホープの阿部一二三(17=神港学園高)を下し勝ち上がってきた高市賢悟(22=東海大)と対戦。昨年のグランドスラム東京大会で敗れた相手に、背負い投げで技ありを奪っての優勢勝ちで第一人者の貫禄を示した。大会終了後に行われた全日本柔道連盟の強化委員会では世界選手権(8月、カザフスタン)の一部代表選手が発表された。

 背負い投げで技ありを奪ったのが残り10秒。あとは時間が過ぎるのを待てばいい。だが、海老沼は最後まで攻め手を緩めず、必死に高市の腕を取りにいって終了の合図を聞いた。「僕は本当に柔道が好き。それを再確認するためにもきょうはやるんだと思っていた」

 昨年12月のグランドスラムでは阿部、高市に連敗し「きょう一日は柔道が嫌いでした」と悔し泣きした。そこからの再起。年明けの欧州遠征は参加せず、日本人対策、高市や阿部のような右組みとの練習に時間を費やした。「グランドスラムで惨敗して、持つべきプライドと捨てるべきプライドを考えた」。試合に出ずに自分を見つめ直した時間が強さに変わった。

 決勝は腰車で有効を奪って先制した。高市が海老沼の抑え込みから逃れると、今度は海老沼が高市の寝技をふりほどく。めまぐるしい攻防に場内は今大会一番の盛り上がりを見せた。それでも組み手で相手を制し、主導権を握っていたのは海老沼だ。「途中で守る場面もあったけど踏ん張れた」と最後に得意の背負い投げでとどめを刺した。
 「僕が勝つことで喜んでくれる人がいる」と優勝インタビューでは男泣き。スタンドに昨年末に結婚した元日本代表の香菜夫人(26、旧姓阿部)の姿があった。自宅では柔道談議もするという香菜夫人は「寝技のアドバイスはします。ちょっと彼は危なっかしいので」と笑いながら“内助の功”を明かした。

 自分が観戦すると海老沼が負けるというジンクスを気にしていた香菜夫人に来場を呼びかけたのは海老沼自身。きっちり優勝を届けて4連覇の懸かる世界切符も手に入れ、あらためてリオデジャネイロ五輪の最有力候補と印象づけた。「世界選手権も五輪も見に来てもらって、しっかり結果を出したい」。柔道家として、男として、海老沼がまた一回り強くなった。

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