桐生 速さの理由は「本番の強さ」 注目を力に公認9秒台を!

[ 2015年4月6日 05:30 ]

練習後、キャンパス内の桜の前でおちゃらける桐生

 陸上男子100メートルで10秒01の記録を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が5日、埼玉県川越市内の同大陸上競技場で練習を公開した。3月のテキサス・リレーでは、3・3メートルの追い風参考ながら9秒87をマーク。次戦の織田記念国際(18、19日、広島)で、日本初の公認9秒台に自信を見せる桐生は、なぜこんなに速いのか。本人が語った、その理由とは――。

 31社64人の報道陣が集まっても、冷静に自分を見つめていた。「なぜ、速いのか」。シンプルな問いに対する、桐生の答えはこうだ。「本番の強さですね」。速い理由はロケットスタートでも加速力でも、ましてや才能でもない。「本番では、やたら走る感じがある」と不敵に笑う。次の“本番”となる織田記念国際で、日本初の公認9秒台を狙う。

 下半身の筋力トレーニングを解禁したオフの成果は、今季初戦で実感した。3月のテキサス・リレーで追い風参考ながら9秒87をマーク。「こんなに騒がれていると思っていなかった」。洛南高3年で10秒01をマークした13年と同様、大記録への期待が高まっているが、メンタル面は当時と違う。「あの時に比べたらマシ。少しは慣れたかな」。重圧に押しつぶされることなく、注目を力に変える余裕がある。

 テキサスの観衆は、9秒台をマークした東洋の19歳に、立ち上がって喝采を送った。今度は日本で、あの興奮を共有したい。「たくさんの人に見に来てほしい。できるだけ、来てほしいです。米国とかに行くと、盛り上がる試合っていいなと思う。日本の大会で(観衆が)立つと“座ってください”って言われるけど、テンションが上がって立ってもらえるとうれしい」。公認9秒台で、我を忘れるほどの興奮を届けるつもりだ。

 桐生には、アスリートの理想像がある。「期待されている中で(記録を)出さないと、トップアスリートじゃない。期待されている中で、出す」。織田記念国際は18日に200メートル、19日に100メートルが行われる。100メートル予選は午後0時50分、決勝は同2時45分だ。「自分の走りをすれば(9秒台は)出る。楽しんで走りたい」。日本陸上界に偉大な一歩がしるされる瞬間が、近づいてきた。

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