えっ?唯一の優勝者が代表落選…横浜Vの田中より大阪3位の重友

[ 2015年3月12日 05:30 ]

選手選考についての質問に答える酒井強化副委員長

 優勝しても評価されない――。日本陸連は11日、8月の世界選手権(中国・北京)の男女各3人のマラソン代表を発表。女子3枠目の争いで、昨年11月の横浜国際を制した田中智美(27=第一生命)が落選し、1月の大阪国際で日本人トップの3位だった重友梨佐(27=天満屋)が選ばれた。田中はレース内容などが重友に劣るとされ、93年以降で初めて国内選考会で優勝しながら、五輪を含めた世界大会の代表入りを逃した。世界選手権で8位以内に入った日本人トップは来年のリオデジャネイロ五輪代表に決まる。

 日本陸連の原田強化委員長が女子3人目の代表を読み上げた瞬間、会見場がざわついた。横浜国際を制した田中ではなく、重友が代表入り。選考会のタイムは田中の2時間26分57秒に対して、重友は2時間26分39秒と大差はない。真っ先に質問した元マラソン選手でスポーツジャーナリストの増田明美さんは、「ビックリしました。どうして同じ26分台で大阪3位の重友さんなんですか!」と問いかけた。

 日本陸連は今回から選考で有利になる設定タイムを導入。女子は2時間22分30秒で、前半消極的だった田中より、前半から攻めて後半に失速した重友の方が、陸連の評価は上だった。酒井強化副委員長は「(田中は)レース内容が物足りない」とし、「我々は現場のプロとしてやっている」と選考に胸を張った。尾県専務理事によると、最終決定の理事会では特に異論は出なかったという。

 田中を指導する91年東京世界選手権銀メダリストで第一生命の山下監督は「納得できません。合宿中の田中もショックを受けています」と話した。「選考が覆るとは思わないので、そこはもういい。でも、今後のことを考えて声を上げていきたい」。これまで何度も物議を醸してきたマラソン選考で、また後味の悪さが残った。

 ▼女子マラソン代表選考 世界選手権の枠は3。14年8月の北海道は日本人トップのみ、11月の横浜国際、15年1月の大阪国際、3月の名古屋ウィメンズの日本人3位以内が選考対象。日本陸連の設定記録2時間22分30秒を切った選手は選考で有利になる。本大会での活躍が期待される選手が選ばれる。

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