白鵬師匠が謝罪 本人はダンマリ、29日理事会では追及せず

[ 2015年1月29日 05:30 ]

報道陣の問いかけに応じず宮城野部屋を出る白鵬=28日、東京都墨田区

 大相撲の横綱・白鵬(29=宮城野部屋)が審判を批判した問題で、師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は28日、日本協会の北の湖理事長(元横綱)と審判部部長の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)に謝罪したことを明かした。協会は白鵬本人に対する責任追及は行わず、事態の収束を図る方針。白鵬は無言を貫いた。

 宮城野親方は同部屋所属の新十両・石浦の会見後、白鵬の騒動について説明した。問題発言があった翌27日に、北の湖理事長には電話で、審判部のトップである伊勢ケ浜親方には直接会って謝罪し、それぞれから厳しく注意を受けたという。その後、白鵬の自宅を訪れて約1時間の話し合いを持ったとし「白鵬は反省していた。すみませんでしたと言っていた」と白鵬の気持ちを代弁した。

 伊勢ケ浜親方は「疑惑の相撲がある。子供が見ても分かる」などの発言について「自分で自分の価値を下げる言動をした。残念というほかない」と嘆いた。だが、公然と批判を受けながら、白鵬本人からの事情説明は求めない意向だ。北の湖理事長は「(人種差別がある旨の)誤解を招くことを言ってはいけない」と問題視したが、「横綱といっても師匠に監督責任がある。厳重に注意するように言いました」と宮城野親方への厳重注意でとどめた。

 白鵬本人を呼び出して注意したり、謝罪を求める予定はない。親方に指導を一任する姿勢は、朝青龍が“サッカー騒動”などの不祥事を繰り返し、最後は泥酔暴行騒動による強制引退に追い込まれた時と変わっていない。29日には理事会が行われるが、北の湖理事長は「話題にはしません」とこれ以上追及しない方針だ。

 白鵬は石浦の会見に同席するプランもあったが、姿を見せなかった。前夜から宿泊していた宮城野部屋から外出した際には、報道陣の問いかけに対し無言で車に乗り込んだ。前代未聞の騒動は、師匠の火消し作業と協会の大甘裁定によって、沈静化に向かっている。だが、白鵬自らが反省の意を示さなければ、批判を受けた審判やファンはすっきりしない。横綱には、その責任がある。

 ▽白鵬の審判部批判騒動 初場所で単独史上最多の33度目の優勝を全勝で達成した千秋楽から一夜明けた26日、宮城野部屋で会見した白鵬は13日目に同体取り直しとなった大関・稀勢の里戦の最初の一番について自らの勝利を主張。「子供が見ても分かる相撲。もう少し緊張感を持ってやってもらいたい。本当、肌の色は関係ないんだよね」などと相撲協会の審判部を痛烈に批判した。この発言に対し、北の湖理事長は師匠・宮城野親方を通じて厳重注意する方針を示していた。

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