錦織4強確信 前年王者ワウリンカこそ重圧、チャン・コーチが分析

[ 2015年1月28日 05:30 ]

チャン・コーチ(左)が見守る中、練習を行う錦織

全豪オープンテニス第10日 男子シングルス準々決勝

(1月28日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 プレッシャーはワウリンカにあり!男子シングルスで第5シードの錦織圭(25=日清食品)は、28日に準決勝進出を懸けて第4シードのスタニスラス・ワウリンカ(29=スイス)と激突する。錦織を指導するマイケル・チャン・コーチは、前年覇者として臨むワウリンカの方に大きな重圧がかかると分析し、錦織への期待を示した。試合は日本時間の正午以降にセンターコートの第3試合として行われる。

 チャン・コーチの確信も深めたようだった。実力者のフェレールにストレート勝ちでベスト8進出。「初戦から簡単ではない組み合わせだった。苦しい試合もあったが、フェレール戦は凄く良かった」とここまでの戦いぶりに合格点をつけた。

 レジェンド選手たちのトークイベントに参加したチャン・コーチは英BBCや各国メディアからも質問を受けた。イベントに先立って行われた錦織とパブロ・クエバス(29=ウルグアイ)の練習について「エネルギーがあふれていて、いい集中力だった」とうなずいた。

 錦織は練習後にファンへのサインにも応じるなどリラックスした様子をうかがわせた。ワウリンカは世界4位の第4シード。前日の会見で「ここからは今までのようなプレッシャーはなくやれる」と語っていたように、ランキング上では今季初めて格上の相手で、存分にチャレンジャー精神を発揮できる。

 チャン・コーチがもう一つ指摘したアドバンテージ。それはワウリンカの前年優勝者という肩書だ。「前年王者と戦う方も簡単ではないが、あしたは全てのプレッシャーがワウリンカにかかる。圭には失うものは何もない」。チャン・コーチ自身にも覚えがある。89年全仏オープンでは17歳で4大大会最年少優勝を果たしたが、翌年は準々決勝で敗退した。

 全豪オープンで4大大会初優勝を遂げた歴代王者たちも翌年はいつも苦しんでいる。98年優勝のペトル・コルダ(チェコ)は3回戦敗退、02年のトーマス・ヨハンソン(スウェーデン)は故障で出場すらできなかった。08年に初優勝した現世界No・1プレーヤー、ノバク・ジョコビッチ(27=セルビア)でさえ、次の年は準々決勝で敗れ去った。

 ワウリンカは昨年の優勝によって世界ランキングの2000ポイントを獲得した。しかし、これは1年で失効するもの。今大会で準々決勝敗退なら大量のポイントを失い、一気にトップ10圏外まで転落する。チャン・コーチは「全米での試合は最近ではかなり激しい試合の一つだった。今回も長いラリーが続く試合になるだろう」と展開を予想する。日本男子83年ぶりのベスト4入りに立ちはだかる王者。ワウリンカが打ち勝つべきは激しいラリー戦だけではない。そこに錦織の付け入る隙もある。

 ≪厳しい初制覇翌年≫00年以降に4大大会初制覇した選手は全豪以外でも9人いるが連覇はなし。04年に全仏で優勝したガウディオ(アルゼンチン)は翌年4回戦敗退。00年に全米を制したサフィン(ロシア)は翌年4強、12年全米優勝のA・マリー(英国)は翌年8強。01年ウィンブルドン優勝のイワニセビッチ(クロアチア)と09年全米優勝のデルポトロ(アルゼンチン)は故障で翌年の大会は欠場した。

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