錦織 役者違う逆転16強!重圧で第1セット落とすも地力で圧勝

[ 2015年1月25日 05:30 ]

日の丸が掲げられる中、錦織はファンの歓声に手を上げて応える(AP)

全豪オープンテニス第6日・男子シングルス3回戦

(1月24日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 男子シングルスで第5シードの錦織圭(25=日清食品)が4年連続の16強入りを決めた。世界ランキング38位のスティーブ・ジョンソン(25=米国)に6―7、6―1、6―2、6―3で逆転勝ち。第1セットはストロークのミスが目立ってタイブレークで落としたが、そこから3セットを連取して格の違いを示した。26日に予定される第9シードのダビド・フェレール(32=スペイン)との4回戦に3年ぶりのベスト8進出を懸ける。

 目指すものが高ければ自分に課すハードルも高くなる。4大大会では日本勢初の4年連続16強(68年オープン化以降)にも「ここまでは最低限の目標」と冷静に言った。はじけた笑顔が見られないのは割り切れない部分が残ったからだ。「相手のプレーも良かったけど自分の気持ちの方が問題点としては大きかった」と錦織は首をひねった。

 1、2回戦と同様に序盤は相手ペースに持ち込まれた。ジョンソンは自信のあるフォアをためらいなく強打。それに比べて錦織のストロークは精彩を欠いた。タイブレーク7―7の勝負どころではダブルフォールトのミスも犯し、2回戦に続き第1セットを奪われた。

 1年前は第16シードだったが今年は第5シード。立場が変わり、対戦相手の目つきも違う。「この3試合はみんな前回の対戦よりも思い切りプレーしてきた。自分によりプレッシャーのかかる試合が増えている」。それがここまでのプレーに微妙な影を落としている。

 それでも第2セットから地力を示した。ジョンソンが苦手とするバックだけでなく、フォアにも打つことで左右の幅をもって攻めた。狙いを絞らせずに相手を揺さぶるとストロークも徐々に切れ味が戻った。第2セット途中からは7ゲームを連取。サービスエース15本もさることながら、決定打は49本を数えた。一方的な展開に持ち込み、相手の戦意を喪失させた。

 この日は別の試合でオーストラリアに来ていた佐藤文平(29=ライフ・エヌ・ピー)が試合前の練習相手を務めた。昨年9月のマレーシア・オープンでも練習相手になった佐藤は「一番いい時と比べても球の威力は増している。サーブも差し込まれる感じだった」とパワーアップを感じたという。その真価はまだ試合で十分に発揮できていないが、その分、伸びしろがあるとも言える。錦織も「最高ではないが、勝てているのはいい出来」と捉えている。

 サッカー日本代表のアジア杯準々決勝敗退には「優勝のチャンスがあると思ってたので残念。ちょっとショックだった」とがっかりしつつも、錦織はこれから優勝争いの本番に突入する。次戦のフェレールとは激しいストローク戦が不可避。ラリーの少ないパワーヒッターが続いた3試合と比べ、リズムはつかみやすくなるはずだ。「思い切りプレーしていかないと、守っているだけでは勝てない相手になってくる」。大会はセカンドウイークに突入。ここから先は内容も問われるタフな相手が待ち構えている。

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