逸ノ城「きつかった」…6年ぶり水入り“がっぷり”4分46秒8根比べ

[ 2015年1月25日 05:30 ]

照ノ富士(左)と逸ノ城の取り組み中に、水入りで止め足の位置を確認する行司・式守勘太夫

大相撲初場所14日目

(1月24日 両国国技館)
 09年夏場所以来6年ぶりとなる水入りの熱戦を“怪物”が制した。関脇・逸ノ城が同じモンゴル出身の平幕・照ノ富士を4分46秒8に及ぶ力相撲の末に寄り切った。千秋楽の豊ノ島戦は三役残留に望みをつなぐ一番となる。13日目に歴代単独最多となる33回目の優勝を決めた白鵬は日馬富士との横綱対決を制し、全勝を守った。

 満員の館内から喝采を浴びる逸ノ城は全身を汗で光らせ、肩で息をついた。汗が染みて何度も目をつぶった。「途中から腕が結構きつかった。水入りは知ってたけど初めてなんで」。全力を出し切り、白星を手にした心地よい疲労感。支度部屋に引き揚げると自然に笑みがこぼれた。

 照ノ富士とは右の相四つ。立ち合いですぐにがっぷりに組んだ。この瞬間に北の湖理事長(元横綱)は「水入りになる。互いに(得意の)いい形になるから攻められても残せる」と予言。その言葉通りの力相撲が展開された。逸ノ城が必死で寄せるが残される。開始3分すぎ、桐山審判(元小結・黒瀬川)の求めに応じ、二所ノ関審判長(元大関・若嶋津)は「動く様子がない」と水入りを宣告。開始3分17秒で行司が両者の背中を叩き、いったん止めた。1分41秒の中断時間に締め込みを直し、汗を拭いて息を整える。その間も「相手より先に攻めて、前に出るしかない」と自らに言い聞かせた。再開直後から攻め手を緩めず、ついに4分46秒8の根比べを制した。同じモンゴル出身の照ノ富士との関係は「友達みたいなもの」だ。年齢は逸ノ城が2歳下だが、10年に同じ飛行機で来日。相撲を始めた鳥取城北高の寮も同室で喜怒哀楽をともにした。しかしプロになればライバル。「対戦する時は敵なんで負けたくない」と闘志を燃やした。

 関脇2場所目の今場所は12日目に負け越しが決まったが、千秋楽の豊ノ島戦に勝てば春場所で三役に踏みとどまれる可能性もある。「体力?大丈夫です」と力強い足取りで国技館から引き揚げた。秋場所までに大関に昇進すれば豊山、雅山の所要12場所(幕下付け出しデビュー)を抜くスピード出世。春場所で大関獲りの足場固めをするために、最後の一番も落とせない。

 ▽水入り 相撲が長引き、両力士の疲労が見えたときに時計係の審判委員から合図があり行司が審判委員の承諾を得て中断すること。約4分間で勝負がつかない場合に行う。力士は土俵を下りて力水を口に含み、まわしを締め直して再び土俵に。取り直しでは力士の組み手や足の位置を中断前と同じ状態にし行司が審判委員に確認して再開。水入りは2度までで、それでも勝負が決まらない場合は2番後取り直しになる。

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2015年1月25日のニュース