錦織 新BIG3になる!全豪Vなら正真正銘「世界一」射程圏

[ 2015年1月20日 05:30 ]

チャン・コーチ(後方右)が見守る中、初戦に向け調整する錦織

 快挙の先にトップ3の座が待っている。全豪オープンは19日にオーストラリア・メルボルンで開幕。男子シングルスで第5シードの錦織圭(25=日清食品)は大会2日目の20日午前11時(日本時間同9時)すぎから世界ランキング69位のニコラス・アルマグロ(29=スペイン)との1回戦に臨む。準優勝した昨年9月の全米オープン以来となる4大大会。アジア勢男子初優勝となれば世界ランキングはジョコビッチ、フェデラーに次ぐ3位まで浮上。新たな歴史をつくるべく錦織がスタートを切る。

 はじけるようにステップを刻み、リズム良くボールを叩いていった。錦織の大会前最後の練習は、マイケル・チャン・コーチを相手に一つ一つのショットを入念に確認する作業。リターンに始まりパッシングやドロップショットまで、全てを終えた錦織はタオルで大粒の汗を拭った。

 練習を終えた後は5分以上時間をかけ、ファンへのサインに応じた。初戦を前にしてもピリピリしたムードはない。携帯での自撮りまでOK。日本人のファンからは「優し~い!」と感嘆の声が上がった。大きな期待を背負っているはずなのに、雰囲気は普段と変わらぬままだった。

 その直前には別のコートで昨年覇者のスタニスラス・ワウリンカ(29=スイス)と実戦形式の練習も行った。順当に勝ち上がれば準々決勝で対戦予定。予行演習とも言える練習は互いに鋭い動きを見せ、集まった300人近いファンを沸かせた。

 現在世界4位のワウリンカだが、昨年大会優勝のポイントが今大会後に一気に失効する。ワウリンカの連覇を阻むことができれば、同5位の錦織には入れ替わりで自己最高の4位浮上の芽が出てくる。それだけではない。優勝まで突き進めば一気に2000ポイントを上積みできる。それはナダルをかわして世界3位まで達する数字。ジョコビッチ、フェデラー、ナダルの“3強”の一角を崩す。そんな野望もシーズン最初の4大大会でいきなりかなう可能性もある。

 この日はナイトセッション開始前に昨年女王の李娜さん(32=中国)がセンターコートに登場した。李娜さんは11年全仏オープンで男女通じてアジア勢で初めて4大大会を制覇。昨年の全豪オープンも優勝したが同年9月に引退を表明した。アジアの女王は「夫がエースを決めてくれたの」と今夏に第1子を出産予定であることを明かしオーストラリアのファンに別れを告げた。

 これからアジアの将来を担う新リーダーは、錦織をおいて他にはいない。李娜の活躍に刺激を受け、その引退に際して「これからは自分がアジアのテニス界を引っ張る存在になりたい」と語っていた日本のエース。「アジア・太平洋地域の4大大会」と銘打たれている全豪オープンは、アジア勢男子初の快挙を成し遂げるのに、ぴったりの舞台であるはずだ。

 ▽世界ランキング 73年から現行制度となり、過去52週で獲得ポイントの高かった18大会の合計点で決める。前年末の順位が30位以内の選手は原則として4大大会、格付けが高いマスターズ大会の年間9大会のうち8大会、その他の獲得ポイントが高い6大会の合計点。1年たてばどんな好成績も失効するため、上位を維持するには試合に出続け、結果を残し続けなければならない。ツアー公式戦で最も格付けが高いグランドスラム優勝は2000点、準優勝は1200点。

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